【試し読み】婚約破棄の甘やかなる事情~黒獣は無垢な婚約者を淫らに味わいたい~

作家:舞姫美
イラスト:KRN
レーベル:夢中文庫ペアーレ
発売日:2020/6/26
販売価格:900円
あらすじ

伯爵令嬢のリディアは、幼馴染の次期公爵ルーファスと婚約中だが、ある時から冷たい態度を取るようになった彼に、突然婚約破棄を申しつけられてしまった! 初恋を諦めきれないリディアは理由を聞くため会いに行くが、「君のせいではない」の一点張りで追い返されてしまう。実はルーファスには、リディアに知られたくない『ある理由』があった。そんなルーファスの態度は、言葉に反して想いが隠しきれておらず、頑なに触れてこないかと思えば、男性と話すリディアに嫉妬心を露わに熱く口づけてきて!?「君の匂いに、くらくらする」――口では拒絶しながら触れてくる彼の真意とは? 蕩ける意識の中リディアの手が触れたのは、ふわふわの……?

登場人物
リディア
幼馴染のルーファスに突然婚約破棄を申しつけられる。理由も聞かせてもらえずショックを受けるが…
ルーファス
ある理由によりリディアを遠ざけようとするが、抑えきれない想いから裏腹な態度をとってしまう。
試し読み

【第一章:恋する乙女の譲れない主張】

【親愛なるリディア嬢 諸事情により婚約破棄をお願いしたい。 ルーファス・ファーニヴァル】

 盾の中心に牙の意匠が刻まれた家紋印が印刷されたファーニヴァル公爵家特注の真っ白な便箋には、濃紺のインクに一切の乱れを感じさせないきっちりとした文字でそう記されていた。
 便箋を手に取り、向きを変えてみても裏返してみても、記された内容に変わりはない。リディアはきつく唇を噛みしめて、便箋を机上に置いた。
 便箋から指先が離れると、途端に視界がぼやけた。泣いてはいけないとわかっていても、我慢できずに大粒の涙が瞳から溢れ出す。便箋の上にいくつか落ちた雫は、生真面目な文字を滲ませた。
 リディアは慌ててスカートのポケットからハンカチを取り出し、涙の痕を押さえる。真っ白い布地に濃紺のインクが移ってしまったが、構わなかった。リディアにとっては、ルーファスから届いた手紙の方が大事だった。
 たとえそれが、どんなに悲しく辛い文面だったとしても。
 自室で読むと言って部屋に籠もってよかったと思う。泣いている顔を見られたら、手紙の内容を使用人たちに察し取られてしまうだろう。自邸に勤めてくれる使用人たちは、皆、心優しい。仕える主人の令嬢が婚約破棄を申し立てられた、などと知れば、ルーファスを敵視するかもしれない。
(婚約破棄を申し立てられたのは、きっと私が至らないから……)
 ──ルーファス・ファーニヴァル。二つ年上の彼は、このファズライル王国王族傍流筋のファーニヴァル公爵家子息だ。
 光が当たると群青色にも見える少し前髪が長い短く整えられた黒髪と、水晶のような透明度の高い紫色の瞳を持つ青年だ。代々国王の第一側近を担い、王が下す様々な命をこなす優秀な者が生まれる名家だと貴族たちの間では常に畏敬の念を向けられている家の子息というわけでもないだろうが、容姿端麗、文武両道、身体も鍛えていてしなやかな鋼を思わせる体躯を持つ。ファーニヴァル公爵家を継ぐことを幼い頃から意識していたように見えたが、彼が十八歳を迎えた頃にはその自覚もだいぶ強くなったようで、冷静沈着──いや、ことさら感情を表さないような冷たい横顔になっていった。だがそれも、ルーファスの魅力を高めることにしかならなかったのだから皮肉だとリディアは思う。
 王国内の年頃の女性たちは、きっと一度はルーファスに憧れを抱くのだろう。事実、自分という婚約者がいても構うことなく、少しでもルーファスと言葉を交わせる機会があればそれを決して逃さないとする令嬢たちは多かった。彼とともに参加した社交の場で、リディアはそんな場面に幾度となく出くわしている。
 互いの父親が親友同士で交流も多く、幼い頃は兄妹のように仲良く過ごす時間が多かった。リディアは、いつも自分に優しくて、どんなことからも守ろうとしてくれる、頼り甲斐のあるルーファスが大好きだった。自分より二年早く社交界に出て、公爵子息としてその立場を確固たるものとしていっても、ルーファスが自分に向ける親愛の情が変わらないことが自慢だった。
 女性ならば誰もが憧れる存在であるルーファスの中で、自分だけが特別な女の子でいられる。……だがその優越感も、年頃になるとあっという間になくなった。
 同じ歳の令嬢たちはルーファスと同じように社交界デビューして公の場でも一緒に居ることができるのに、まだそこに辿り着けない自分は、彼の隣に居ることができない。自分の傍にルーファスが戻ってきてくれることがわかっていても、それがたまらなく嫌だった。嫉妬というものを覚えたのは、その頃だった。
 ルーファスの隣には、自分だけが立っていたい。そう強く願うようになって、それが恋慕だと気づいた。
 気づけば恋心の成長は身体の成長よりも早く、リディアはどうしたらルーファスにとって妹代わりではない特別な女の子になれるかを自分なりに研究した。そして今では周囲から憧れの淑女として讃えられるまでになった。
 その努力が伝わったのか、リディアが十五歳になったとき、ルーファスから婚約の申し出をされた。あのときは驚きと喜びと感激で何と応えたのかも覚えていない。ただイエスの答えをしたことは間違いない。その返事を受け取って、ルーファスも照れくさそうに──けれどもとても嬉しそうな笑顔で頷いて、リディアの唇に触れるだけの軽いくちづけを与えてくれた。
 初めてのくちづけにも驚いたが、触れた温もりがとても心地良く甘く感じられて、リディアは真っ赤になって俯いてしまった。ルーファスはそんなリディアにまた嬉しそうに笑うと、ぎゅっと抱き締めてくれた。ルーファスに恋人として抱き締められたのは初めてで、とてもドキドキしたことを今でもはっきりと覚えている。
 それからは婚約者として、ルーファスはリディアをとても大切に扱ってくれた。リディアが成人の儀を迎えたら結婚できるよう、準備も整えてくれていた。来たるべき日が来たら、ルーファスの妻としてファーニヴァル公爵家に嫁ぐことになるのだと、リディア自身も思っていた。
 ──だが一年ほど前、ルーファスはまるで別人のように無愛想とも言えるほど感情らしさを表さなくなり、リディアを必要以上に自分に近づけなくなった。婚約者としてルーファスの傍にいることは月に数えるほどしかなくなり、一緒にいてもルーファスは大抵沈黙したままで会話も弾むことがなく、リディアが一方的に世間話をすることがほとんどとなってしまった。
 ともすれば心が挫けてしまいそうになるが、そのくらいでリディアがこれまで育ててきたルーファスへの恋心が消え失せることはなかった。それどころか、自分への態度を急に変えた理由が心配だった。
 きっと何かがあったのだと思えた。……意固地だと言われても、リディアはそう信じている。何の理由もなく、婚約までした相手にこんなふうに冷たくする人ではない。例えば自分以外に想う相手ができたのならば、そのことを誠実に伝えてくれる人だ。
 だがその気配もないのだから、リディアは一方的すぎる婚約破棄には頷けない。
(でも、婚約解消願いの手紙を何度ももらうのは……堪えるわ)
 リディアは大きく息を吐くとドレッサーに向かい、鏡に自分の顔を映す。目元が少し赤くなっていたが、よく見なければ泣いたことには気づかれないだろう。念のため、薄化粧を直しておく。
 自室を出て向かうのは、サンルームだ。午後のこの時間、母親は大抵そこでレース編みをしたり読書をしたりしている。今日は父親も用事がなく、夫婦揃って憩いの時間を過ごしているはずだった。
 リディアの思った通り、両親は丸テーブルを囲んで茶をしている。テーブルの上にはほんのりレモンの香りのするマドレーヌが入れられた小さな籠が置いてあったが、二人が手をつけた様子はなかった。仲睦まじい両親だが、今このときは、互いに神妙な顔をして無言だった。
「お父さま、お母さま」
 リディアの呼びかけでハッと我に返ったらしく、やって来た娘を二人が慌てて見返す。いつも通りの優しくいつくしみに満ちた笑顔だ。だがそこに、決して見間違いではない憂いもあった。
「まあ、リディア。どうしたの?」
「私たちと一緒にお茶をするかい? マドレーヌがあるよ」
 どこか腫れ物にでも触るかのような対応で、リディアは悟る。届いた手紙の内容を、両親は知っているのだ。
(そうよね。だって婚約破棄を願い立てるのならば、私の両親に話を通すのは筋だもの……)
 それでも両親は、自分たちの口からそのことを伝えることはできなかったのだろう。リディアは父親が勧めるまま、二人の間の椅子に座る。
 母親がリディアの分の茶を用意させるために、呼び鈴を鳴らそうとした。リディアが止める。
「お話があります」
 娘の表情から、何を言おうとしているのかを両親は悟ってくれたようだ。愛しみの空気は留まったままだったが、両親の表情も厳しいものになる。リディアは小さく息を吸い込んで、言った。
「ルーファスさまから、婚約解消の申し出が届きました」
 事実を単に告げただけなのに、胸が痛む。膝の上に乗せた手の指先が、とても冷たいことは自覚できた。
 父親が、唸るように頷いた。
「私たちの方にも、ルーファス殿から話が入っている。その……お前との婚約を解消させて欲しいと……」
「リディア、どうか気落ちしないでね。あなたがルーファスさまのことをとても慕っていることは、私たちも、ファーニヴァル公爵さまがたもよく知っていたわ。でもこればかりは互いの気持ちが大事なことで……」
「こんな手紙だけのやり取りで婚約を解消しようとするなんて、ルーファスさまらしくありません」
「それは……」
 両親が互いに顔を見合わせ、口ごもる。二人もリディアと同じような疑問を抱いたことがあるのだ。
「こういうことは、なかなか面と向かっては言いづらいのだろう」
 父親の言葉に、リディアは視線を落とす。
 ここ最近、ルーファスとはまともに顔を合わせていない。どうしても婚約者としての体面を保たなければならない社交の場のときだけ、ルーファスは自分を伴ってくれていた。そのときも、極力余計な話をしようとはしなかったし、必要以上に触れてくることもなかった。
 嫌な予感はその頃からしていたが、気づかないふりをしていた。理由を知るのが怖かった。
(……でも!! 今ここで怖がっていたら、本当にルーファスさまとの関係が終わってしまうことになる……!!)
 リディアは冷たくなった指先でスカートをぎゅっと強く握り締め、いつの間にか俯き加減になってしまっていた顔を上げた。
「リディア……?」
 決意を込めたような表情に気づいて、両親が心配そうに呼びかける。リディアは二人を真っ直ぐに見つめて言った。
「私、ルーファスさまに直接お話を伺って参ります。お父さま、ファーニヴァル公爵家に使いを出していただけませんか?」
「……リディア、しかし……あちらが婚約を解消したいと言っていることは間違いようがなく……」
「納得できないのです」
 リディアは両手に更に力を込める。泣きそうになるのを改めて堪えながら、リディアは続けた。
「ルーファスさまが私を嫌いになったのならば、それはもう仕方のないことだと思います。でもこんな大事なことを、手紙だけで終わらせるようなことをルーファスさまは絶対にしません。優しくて誠実な方です。何か……何か理由があるのだと思うのです……」
 本当はそう思いたいだけかもしれない。それでも直接対面して話を聞かなければ、気持ちを決着づけることができそうになかった。
 娘の必死の表情を認めて、両親が顔を見合わせる。視線で何かを話し合うかのようにしたあと、父親が苦笑めいた溜め息を吐いた。
「……わかった。ならば私の方からルーファス殿に会ってもらえるように使いを出しておこう。ただ、ルーファス殿の気持ちがもうお前にないとわかったのならば、諦めなければいけないよ」
「はい! ありがとうございます、お父さま!」
 話す内容はとても辛いことだとわかっていても、久しぶりにルーファスに会うことができる。それがリディアには嬉しくて、礼を言う言葉ははしゃいだものになってしまった。
(ああ、そうね。どんな会話でもいいの。ただ私が……ルーファスさまのお顔を、見たいだけなの……)

 父親が使いを出してくれたあと、ファーニヴァル公爵より返事があり、対面の場を設けてくれることになった。前回ルーファスに会ったのは、互いの両親の共通の知人から招待された内輪のパーティーで、三ヶ月ほど前のことだった。
 着飾ったところでどうにかなるものではなかったが、それでもルーファスに一番綺麗な自分を見てもらいたいと、身支度はいつも以上に念入りに整えた。
 緩い曲線を描く濃いめの金髪と深い緑の瞳に合うように、淡い若草色のデイドレスにした。スカート部分に向かって緑色が濃くなっていくグラデーション生地で作られたドレスは、リディアのお気に入りの一着だ。もうそのときにはルーファスとはぎくしゃくとした関係になっていたが、それでもこのドレスを着た自分をルーファスは低い声音ながらも綺麗だと言ってくれた。
 臀部にまで届きそうなほど長い髪は緩い三つ編みにして一つに纏め、細い白レースのリボンを編み込んだ。ルーファスが幼い頃にリディアに贈ってくれたリボンだ。痛まないように大切に保管しながらも、こうして使っている。
 使用人たちにおかしなところはないかと何度も確認し、それでも少々心配になって姿見の前で何度も自分の姿を確認したあと、馬車でファーニヴァル公爵家へと向かった。
 玄関では見慣れた使用人たちが出迎えてくれて、リディアを応接間に通してくれた。屋敷に居たファーニヴァル公爵夫妻がわざわざリディアに挨拶をしに来てくれて、とても婚約解消を申し立てられたとは思えぬほどの厚遇だった。だが、公爵夫妻の何とも申し訳なさそうな表情が、現実のことだとリディアに教えてくれる。
 それでもリディアはいつも通りに淑女としての挨拶を公爵夫妻にし、通された応接間で一人、ルーファスがやってくるのを待った。香り豊かな紅茶や乙女心を擽ってくるような可愛らしいマカロン、クッキー、プチケーキなどが用意された大皿にも、リディアはまったく目が向かない。いつルーファスが姿を現してもいいように、緊張した面持ちで待ち続ける。
(ルーファスさまがいらっしゃったらまず挨拶をして、それから手紙の内容についてお話しして……)
 永遠のようにも思える時間のあと、扉がノックされた。リディアは小さく息を呑み、入室を促す。
 だが姿を現したのは、リディアも顔なじみの公爵家家令だった。彼はひどく申し訳なさそうな顔をして、扉近くで深く頭を下げる。
「大変申し訳ございません、リディアさま。ルーファスさまは急ぎの用が入ったとのことで、今日はお会いになれないと……」
(ファーニヴァル公爵さまがわざわざ場を設けてくださったというのに? それを反故にされるというの?)
 こうまでしても会わないということは、相当のことだろう。リディアは絶望感に目の前が真っ暗になり、よろめく。
「リディアさま……!」
 家令がそれに気づき、慌てて支えようと走り寄ろうとした。だがそれよりも一瞬早く扉が乱暴に開き、家令の脇を風のように走り抜けた人物がリディアの身体を支えてくれる。
 それが誰なのか、わざわざ確認するまでもない。リディアは驚きに軽く目をみはったあと、すぐに自分を抱き支えてくれる青年を見返した。
「……ルーファス、さま……っ」
 久しぶりに会うルーファスの端整な容姿は、何も変わっていなかった。感情の起伏をまったく感じられない落ち着いた表情や瞳も、リディアの腰に回された腕の力強さも、片手を握ってくれる掌の大きさや温もりも──何も変わっていない。リディアは嬉しさと安堵感で、瞳に淡い涙が浮かんでしまう。
「ルーファスさま……っ」
 会ってくれたことが嬉しくて、リディアは頭の中で色々と練習していた会話をすべて忘れてしまい、胸元にぎゅっとしがみついてしまう。頭一つ分高いルーファスの顔は見えなくなるが、こうして会えた機会を逃したくなかった。
「……っ」
 突然しがみつかれたためか、ルーファスの身体が強張る。それが自分を嫌がっているように思えてしまい、リディアは慌てて離れようとした。
 よく考えれば、もう小さな子供の頃ではない。淑女が異性にこんなふうに身を寄せるなど、はしたないことだ。
「……す、すみま、せ……あ……っ」
 身を起こそうとしたリディアの腰を支えていたルーファスの腕に力がこもり、強く抱きしめてくる。逞しい胸元に片頬を押しつけるほどに強く抱き締められ、胸が痛いほどにドキリとした。
(私……ルーファスさまに嫌われているわけでは……ない、の……?)
「ルーファスさま」
 室内に留まっていた家令が、どこか慌てたようにルーファスを呼んだ。ハッと我に返ったルーファスが、慌ててリディアを離した。
「……急に、すまない」
「……い、いえ……」
 ダンスやエスコートのときとは違う密着度合いに、身を離してもまだ胸がドキドキしてしまう。ルーファスは大きく息を吐いたあと、言った。
「大丈夫か」
 自分を少しは心配してくれているのだろうか。見返す端整な顔には感情らしいものがまったく見えず、何やら妙な威圧感すら感じるほどだ。幼い頃はリディアと同じほどに感情豊かだったというのに。
(そもそもその辺りも、おかしいわ。急にまるで性格が変わられたかのようで……)
 そんな違和感を覚えたのも、リディアによそよそしくなった時期と重なる。やはりルーファスの身に何かあったとしか思えない。そんなことを思っていたために、返事が遅れた。
 こちらをじっと見つめたまま無言でいるリディアを、ルーファスが眉根を寄せて覗き込んでくる。美しい紫色の瞳がリディアを正面から見つめた。何を考えているのか読み取れない瞳だが、その奥に少しは自分を心配してくれているような気配を感じるのは──勝手な解釈だろうか。
「リディア、頼む。何か言ってくれ」
 切実な声音にリディアは改めてハッと我に返り、慌てて答えた。
「も、申し訳ありません、ルーファスさま。大丈夫です」
「……そうか」
 低く頷いたあと、ルーファスはリディアから身を離す。せっかく感じ取れていた温もりが遠のき、リディアは寂しさを覚えてしまった。今、ほんの少しだけ、かつてのようにルーファスを近く感じられたのに。
 ルーファスは無言でリディアに背を向け、部屋を出て行こうとする。リディアは慌ててルーファスの上着の裾を掴んでしまった。淑女としてあり得ない行動ではあったが、今ここでルーファスを見送ってしまうわけにはいかない。
 ルーファスが、無言でリディアを肩越しに見返す。美しい紫水晶のような瞳には何の感情も浮かんでいないから、彼が何を考えているのかわからない。不思議な威圧感のようなものに小さく息を呑みながらも、リディアはルーファスの瞳を見返した。

※この続きは製品版でお楽しみください。

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