【試し読み】いたずらな秘密の電話
あらすじ
田所毬亜は、イケメンチーフの有藤聖司に恋をしているが、仕事ではぶつかってばかり。自分でおやじっぽいってわかってはいるけれど、毎日ビールを飲みながらアクション映画を見てイライラを発散させている。それでも全然イライラは収まらない。そんな毬亜の携帯電話に、ある日、いたずら電話がかかってくる。毬亜は酔いに任せて、いたずら電話の彼とエッチな事をしちゃう。だんだんと毬亜はいたずら電話が待ち遠しくなってきて、どんどんエスカレートしちゃうことに……!?
登場人物
帰国子女で勝気な性格、ビールとアクション映画でストレスを発散するおやじっぽい一面も。
毬亜の上司。仕事に厳しく、毬亜とは意見が合わず喧嘩になってしまうことが多い。
試し読み
1
「このA案が駄目なら、B案をって言ってるんです!」
わたしは田所毬亜。
デザイン事務所のデザイナー。
21歳で勤めだして、もう2年たつ。
まだまだ下っ端だけど、毎日バリバリ頑張ってるつもり。
「A案もB案もメリハリに欠ける。もっと違う案は出せないのか!?」
で、わたしと言い合ってるのは、わたしの上司・チーフの有藤聖司。
わたしと意見が食い違っては、最近になって何かと意見が合わず喧嘩になってしまう。
「わかりましたよ! いくらでもやり直しますから!」
それまではチーフは別部署のチーフアシスタントをしてた。
わたしの上司になってから、こんなふうに嫌味かってくらいにやり直しを要求してくるのは、単純にアイデアが気に喰わないのか。
こんなに何度もデザイン修正してるとわけがわからなくなってくる。
チーフの言うこともわかるんだ。
たしかに、このフォントよりこっちのフォントのほうがメリハリがつくし、この背景色に重ねるなら微妙だけど、こっちのカラーの方がいい。
そういうふうに的確に訂正を要求されるのはいいんだけど、なんだか、突っかかる感じでやり直しを言ってくるから、感じ悪いったらない。
有藤チーフは顔がいい。
あくまで顔ね。
それにまだ30歳になってないとこも……。
ドンピシャでわたしの好み。
彫りの深い顔で、目鼻立ちのメリハリがある。
とにかく外国人みたいな顔がわたしは好きなのだ。
わたし自身が帰国子女だったせいかもしれない。
それと、勝ち気なせいかも……。
なんとなくしょうゆ顔とか塩顔って気が弱そうに感じてしまうんだよね。
とにかく負けるな、めげるな! わたし!
とはいっても連日の残業で、わたしのイライラもマックスになってる。
まわりの同僚も、
「根詰めすぎないでね。チーフがなんであんなに田所さんのデザインに対してこだわるのか、わたしにもわかんないんだよねー」
なんて、人ごとのように言って、先に帰っていく。
もうA案とかB案とか言ってる場合じゃないくらいに、わたしはチーフにデザイン案を出してきた。
あともう少しだから頑張って、とかって言ってくれれば、わたしも頑張り甲斐があるんだけど……。
とにかくダメダメの一点張り!
イヤンなっちゃうよ!
なんであんなに突っかかってくるのか、さっぱりわかんない…………。
ようやく一段落ついて、8時に会社を出たわたしは、ラッシュが過ぎてひと気のないスカスカの電車に揺られて、家路についた。
駅から家までの15分。
帰り道の途中にレンタルDVDショップとコンビニがある。
そこでアクション映画を一本借りて、ビールを何本か買うのが、わたしの日課。
スカッとする映画を見て、ビールを飲んで酔っ払って、ストレス発散するつもりだった。
でも、なんだかイライラは止まらない。
前はこれでスッキリしてたんだけどな……。
多分有藤チーフのせいだろうな。
最初のうち、少しでも気に入られようとしたのが良くなかったのかも。
わたしの実力を本来より下に見られてるんだとしたら、すごく悔しい!
なんとかいい案を出して見返してやりたいなぁ……。
なんとかなる気もする。
そのために今日も残業したんだし。
お風呂に入って、体の隅々までスキンケアして、顔パックするだけで、かなりさっぱりする。
おやじっぽいとはいえ、肌のこととか体のことにはすごく気を使ってる。
お酒好きは変わらないけどね。
今日も夕飯を作るのを怠けて、ビールとおつまみとDVDでごまかしてしまう。
アクションにはすごいワクワクはするんだけど、いまいちスカッとしない。
かっこいいアクションスターを見てると、あの憎たらしいチーフの顔が浮かんでくる。
たしかにかっこいい。
だけど、あんなカリカリした人が、もし恋人だったら……なんて考えられない!
もっと優しくて、落ち着いてる人がいい。
大人っぽい雰囲気がする人もいいな……。
やっぱり、有藤チーフの顔が頭に浮かぶ。
そうなんだ……。
認めたくないけど、わたしはチーフアシスタントだった頃から、彼が気になってる……。
あの時はすごく落ち着いてて、いい感じだったんだけどなぁ……。
どうして、わたしとはぶつかり合っちゃうんだろう。
そろそろ酔っ払っちゃったかもしれない。
有藤チーフが気になって仕方ないなんて考えちゃうんだから……。
なんとなく酔いに任せて、わたしは自分の乳首を弄ってみた。
なんだか気乗りしない、というかしらけてる……。
触ってもらうほうがいい、かな?
だから、もう寝ちゃうことにした。
2
あーもう!
今日も別の件のデザインで、有藤チーフとぶつかっちゃった。
毎日何度かデザインのやり直しをしてからじゃないと、デザイン案が通らないから、他の仕事が滞って、それで残業になったりする。
しゃきしゃき仕事しないからだなんて嫌味を言われて、もう腹が立って仕方ない。
なんなのよ!
いったい、わたしになんの恨みがあるのよ!
今日もアクション映画を借りて、ビールの500ml缶を数本買って帰った。
最近お酒の量が増えてる。
昼間のイライラをお酒で発散しないとやってられないって感じ。
お風呂に入って一息ついてから、ビーズクッションに体を預けて、DVDプレイヤーの再生ボタンを押した。
プシュッ!
缶を開けて、ビールを一気飲みした。
「あー、おいしいぃ」
お風呂あがりの冷たいビールが最っ高においしい!
今日は頭に来たから残業なしで帰った。
だから時間がある。
借りたDVD2本をゆっくり見ようっと。
2本目か3本目のビールを開けた時、携帯電話が鳴った。
友達かと思って見てみると、知らない電話番号……。
なんだかしつこく鳴るから、面白半分に出てみた。
鬱憤もたまっていたからいたずら電話だと思って、出てすぐに酔いに任せて、がんがんに文句を言ってやった。
「あなたね、いたずら電話なんかしてるんじゃないわよ! いたずら電話なんかしてる暇があったらもっと生産的なことしなさいよね! こういうことする人ってほんと、暇だし、仕事もしてないイメージだよ! そうそう、ニートって感じ! 根暗な感じもする! また電話かけてきたら、警察に通報するからね!」
ちょっとひどい言い方だったけど、鬱憤をぶつけるにはもってこいで、どんどんひどい言葉をぶつけてしまった。
すぐに切ろうとしたら、相手が戸惑った感じで聞いてきた。
「今、何してたの……?」
何?
すごいいい声……。
低くて甘い感じの声で、わたしの大好きなアクション俳優みたいな声だった。
思わず聞き惚れてしまう。
「え? 何って……、部屋でお酒飲んで……」
もしかして……これって、あれ?
いたずら電話ってやつ?
でもこんないい声でいたずらされるのはいい気分かも……。
わたしの住所を知ってるわけじゃないだろうし、顔もわかんない。
それに、ずっと恋人無しで、なんだか寂しいって思ってたし……。
なんだかいたずら電話に乗ってやろうと思って、なんとなく、
「今、わたし、下着しか着てないんだ……キャミソールにパンティだけ」
「え? あの……」
「それにずっと恋人もいなくて欲求不満だし……あなたは何着てるの?」
「おれは……ランニングシャツに短パンかな」
「ね? あなたいたずら電話するためにわたしに電話したんでしょ? いいわよ? わたしもすごく暇なんだぁ。乗ってあげるから、いいコトしちゃお」
電話の相手はびっくりしたみたいで、黙ってる。
そうだよね、ふつうはビックリして嫌がったりして電話切っちゃう人がほとんどなんだもん。
やっぱり、わたしってふつうじゃない?
おやじっぽいのかな?
「下着……何色なの?」
定番かな……今日は……。
「ピンクのフリルのパンティに、お揃いのキャミソール……ちょうどビール飲んでたから肌が火照って赤くなってる」
「君の乳首って……何色なの?」
「薄いもも色……かな? 触ってみる?」
わたしはキャミソールの中に手を入れて、ちょうどいい大きさに揺れる乳房の乳首に触れた。
「あ……」
久しぶりすぎて、くすぐったい。
自分で触るっていうのもあまりしたことないから、なんだか自分で触ってることに違和感がある……。
「じゃあ、乳首勃ってるの?」
「少し……あ、でも触ってたら大きくなってきたかも……」
「じゃあ、そのまま指でこすってよ」
「うん……」
言われるままにこすってると、だんだん変な気分になってきた。
酔ってるせいかもしれない。
なんだか感度がいい……。
「どんな気分……?」
声が耳元でささやかれて、ゾクゾクする。
「なんか、変な気分……」
「おれも興奮してきたみたい」
「ねぇ、あなたが触ってるみたいに話してよ……」
「乳首、そんなに立たせてると可愛いね……。ちょっとつねるよ」
「あっ……あああん」
つねった乳首の先から電流が走った。
「なんだか、下のほうがじんじんする……」
「おねだりなんだ……、じゃあ、空いた手で、下のほうも触ってよ」
「うん……」
左手でパンティのうえから、少し湿ってきた割れ目をこすった。
一番感じる部分が少し膨れてきて、わたしの指が当たるたびにビクビクしてくる。
電話の彼が、
「どんな感じ? 感じてる?」
思わず、わたしは声が漏れる。
「あっ、あっ……指があそこにあたって気持ちいいよぅ」
「まだ濡れてない?」
「ううん、少し濡れてきてる……」
わたしが答えた。
「じゃあ、指で強くこすってみて」
「うん……あっ!」
わたしは思わず声をあげた。
すごく敏感な部分がビリビリして、腰が引けた。
でもすぐに甘い感覚になっていく。
親指と中指でむき出して、濡れた人差し指でぎこちなく触っていく。
それだけでどんどん身体が熱くなってきて、フワフワしてくる。
「どんな感じ?」
「ふわふわ、する……ん、ああっ」
「おれも自分の、触ってるよ……」
「ん……っ、あ、あ……」
わたしの記憶の蜜壺のアレを思い浮かべながら、わたしは自分のあそこをいじり続けた。
「どうして欲しい?」
「あっ……、あ、あ、あそこ……、強くこすって……!」
わたしはあそこを強くこすりつけて、じんわりおしっこがしたい感覚が来るのを待った。
「おしっこ、出そう……、あっ……あああ……!」
「漏らしちゃっていいよ」
「き、気持ちいいよぅ」
「おれも……」
「あっあっああああ」
「いきそう……! おれも……」
「あ!」
わたしは甘い痺れを感じながら、身体をつっぱらせた。
「はぁ、はぁ……」
力が抜けて、身体が弛緩する。
「気持ち良かった?」
「……うん」
低い優しい声が、わたしの耳元を舐めるようにささやく。
うっとりしたまま、わたしは頷いた。
ほんとに気持ちよかった。
心の底からスッキリした。
「じゃあ……」
いたずら電話の相手は、それだけ言って、電話を切ってしまった。
あんないい声のいたずら電話なら、いつでもかかってきて欲しい……。
ううん、あんな声の人にあんなふうにささやかれてみたい。
自分で触ってたのに、まるで、電話の向こうの官能的な声の彼に触られて見つめられてるみたいだった……。
すごく興奮して、今も胸がドキドキ言ってる……。
DVDを見たり、ビールを飲んだりするよりも、すごくストレス発散になった。
※この続きは製品版でお楽しみください。