【24話】堅物夫(仮)を恋に落とす方法

作品詳細

 ゆっくりと動き回りながら、確実に私の何かを奪い去るような……そんな感覚に陥っていく。
 歯列をなぞり、私の舌をも絡めとっていく。
 クチュクチュというお互いの唾液の音がとても卑猥に感じ、私は身悶えた。
 これ以上孝介さんの舌に触れられたら、どうにかなってしまう。
 慌てて舌を引っ込めようとしたのだが、それを彼の舌は阻止した。
 私の舌に絡みつき、逃げることは許さないと行動で示している。
 唇の端から、唾液が垂れてきた。だけど、それを拭う余裕などない。
 ただただ孝介さんにしがみついて、この甘すぎる行為に没頭した。
 深くなっていくキスに、すぐ音を上げたのは私だった。だって、呼吸ができない。苦しい。
 トントンと孝介さんの胸板を叩くと、彼はフッと楽しげに笑ってキスを止めた。
 ハァハァと呼吸を荒げている私を見て、孝介さんは目を細める。だが、いつものような穏やかな笑みではない。
 どこか卑猥で、色気が漂っている気がする。彼の表情を見て、身体が淫らに震えた。
「穂乃果ちゃんの、こんな顔。初めて見た。すっごく可愛くて厭らしい」
「そ、それは……孝介さんのせいです」
 からかわれている気がして、私は視線を逸らした。
 孝介さんは、まだ私を子供扱いしているのだろうか。
 居たたまれない気持ちを抱いていると、彼はクスクスと嬉しそうに笑った。それがしゃくさわる。
「そんなこと言いますけどね! 孝介さんだって厭らしい顔してます」
 反論すると孝介さんは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに優しげにほほ笑んだ。
「そうだろうな」
「へ!?」
「だって、穂乃果ちゃんがあんまり色っぽい顔しているから、俺だって厭らしい顔になる」
「っ!」
 ソファーに押し倒されたままの私の背に手を置き、孝介さんは抱き起こしてくれた。
 ホッと息をついたのもつかの間。孝介さんは私の膝裏に手を入れ込み、そのまま持ち上げたのだ。
 急に視界が高くなり、身体が不安定なる。慌てて孝介さんの首に腕を回すと、彼に耳元で囁かれた。
「そう。そうやって俺に縋っていて」
「こ、こ、孝介さん!?」
「暴れちゃダメだ。しっかり抱いているけど、落としちゃうといけないから」
「っ!」
 孝介さんのたくましい腕が私を包み込んでくれている。安心しているけど、大人しくしていた方がいいだろう。
 ギュッと彼にしがみつくと、孝介さんもギュッと抱きしめ返してくれた。
 ドキドキしたまま彼にしがみついていると、そのままベッドへゆっくりと下ろされる。
 裸のままの私は、足をモジモジと擦り合わせて腕で胸を隠す。
 恥ずかしがっている私を見て意地悪に笑った孝介さんだったが、履いていたスウェットとパンツを脱ぎ始めた。
 慌てて視線を逸らすと、孝介さんは忍び笑いをする。
 私の子供らしい態度がおかしかったのだろう。だけど、それも仕方がないことだ。
 だって、こんなふうに男性の身体をマジマジと見たことなど、一度もないのだから。
 とにかく男性に免疫がない。そんな私に、この状況は酷だと言うことは孝介さんだってわかっているはず。
 それなのに、どうして笑うのだ。
 プイッとそっぽを向き、頬を膨らませている私に孝介さんは近づいて来た。
「そんなに拗ねないで」
「だって……。そりゃあ孝介さんから見たら、こんなに慌てふためく私が面白くて仕方がないかもしれませんけど。私にしてみたら必死なんですよ!」
 ますますむくれる私を背後から抱きしめてきた孝介さんは、耳元で囁く。
「ごめん、穂乃果ちゃん」
「うー、許しません」
 冗談だ。だけど、態度を改めてくれるまでは、むくれていよう。
 未だにそっぽを向き続けていると、孝介さんは困ったように切ない声を耳元で響かせた。
「別に穂乃果ちゃんのことを笑っているわけじゃない」
「嘘ばっかり!!」
 口を尖らせていると、孝介さんの腕によって身体を反転させられてしまった。
 至近距離に色気ダダ漏れの孝介さんの顔を見ることになり、ドクンと大きく胸が高鳴る。
「嬉しくて」
「え?」
 意外な返答に、私は目を丸くする。
 大事なモノに触れるような慎重な手つきで、私の頬を孝介さんはそっと撫でた。
「ずっと穂乃果ちゃんに触れたいと思っていた」
「孝介さん?」
「それこそ、穂乃果ちゃんを女だと意識し始めてからはキツかった」
 困ったように眉を下げ、孝介さんはかすかにほほ笑む。

作品詳細

関連記事

  1. 【26話】堅物夫(仮)を恋に落とす方法

  2. 【1話】氷姫を蕩かす熱愛~侯爵様の優しいキス~

  3. 【4話】氷姫を蕩かす熱愛~侯爵様の優しいキス~

  4. 【2話】氷姫を蕩かす熱愛~侯爵様の優しいキス~

  5. 【30話】クールな鬼上司の恋人モードは、甘々溺愛が止まりません

  6. 【1話】堅物夫(仮)を恋に落とす方法

  7. 【34話】堕ちて幸せ!?~復讐に燃える完璧令嬢は魔王の花嫁になりました~

  8. 【3話】犬猿同期ふたりの恋愛攻防戦!?

  9. 【28話】クールな鬼上司の恋人モードは、甘々溺愛が止まりません

Bookstore

dブックロゴ

bookliveロゴ

PAGE TOP
テキストのコピーはできません。