【23話】堅物夫(仮)を恋に落とす方法

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「っ!」
 孝介さんは下こそスウェットを履いているが、上半身は裸だ。
 ガシガシと髪をタオルで拭きながら、私に近づいてきた。
 男の人の裸をこんなに間近で見たことがない。それも相手は大好きな孝介さんだ。
 思わず恥ずかしくなって視線を逸らす。だが、身体中がどんどん熱くなっていくのが自分でもわかった。
 ドキドキしすぎて、どうにかなってしまいそうだ。
 小さく縮こまっている私を、背後から抱きしめるように孝介さんがソファーに座った。
 肌と肌が密着し、そこから孝介さんの熱を感じる。
 それだけで苦しいほど高揚していると、孝介さんは私の耳元で甘く囁いた。
「押し倒してもいい? 穂乃果ちゃん」
「っ!」
 ストレートな誘いだった。一気に顔が赤くなった私をギュッと抱きしめながら、孝介さんは苦笑する。
「本当は段階を踏んでいきたいとは思うんだけど……ごめん、俺にはもう堪えることができない」
「え?」
 どういうことだろう、と目をパチパチ瞬かせていると、孝介さんは耳元で囁く。
「君のこと、色々と我慢しすぎた。もう、これ以上は無理。まずは、穂乃果ちゃんを抱きしめさせて」
 大人の色気漂う孝介さんの吐息混じりの声に、私の身体は否応なく震える。
 ほんの少し前までは、孝介さんに甘えていちゃいけないと思って離れようとしていた。
 それなのに、孝介さんの甘い囁きに身体が疼いている。
 もっと触れてほしい、近づいてほしい。そんな感情が身体中を駆け巡っていく。
 コクンと小さく頷くと、孝介さんは私の身体に巻き付けてあるバスタオルに手をかけた。
 衣擦れの音が聞こえ、そのまま床に落ちていく。
 今、私は何も身につけていない。生まれたままの姿だ。
 それを孝介さんは私から少し離れ、身体中を舐めるように見つめているのがわかる。
 その視線だけで、のぼせ上がってしまいそうだ。
「キレイだね……穂乃果ちゃん」
「そ、そんなに……みないでぇ」
 羞恥でか細くなっていく声。身体中に孝介さんの視線を感じて身悶えてしまう。
 腕で身体を隠そうとするが、隠しきれるものではない。
 きっと孝介さんには何もかもを見られてしまっている。そう思うと、恥ずかしくて逃げ出したくなる。
 いつもの勢いがない私を見て、孝介さんはフッと優しく笑った。
「穂乃果ちゃん、ベッドがいい? それともこのままソファーでする?」
「へ?」
 孝介さんの言っている意味が一瞬わからなかった。だが、すぐに気が付いて孝介さんから視線を外す。
 いつもはキチッとしていて大人で、どこか堅物な雰囲気がある孝介さんなのに、こんなことを言うだなんて。
 頬が一気に熱くなるのを感じながら、私は小さく呟いた。
「孝介さん、いつもと雰囲気が違います」
「はは、そうだろう」
 あっさりと認めた。それに驚いていると、孝介さんは魅惑的な笑みを頬に浮かべる。
「穂乃果ちゃんは俺のこと、どう思っている?」
「どうって……それは、大人でしっかりしていて」
 数え上げたら切りがないほど、ステキな男性だ。そう力説すると、孝介さんは困ったように眉を下げた。
「それ、間違っている。穂乃果ちゃんは俺に憧れを抱きすぎだ」
 孝介さんは私の肩を掴み、そのままソファーに押し倒してきた。
 私の視界には天井と、そして髪が濡れたままのセクシーすぎる孝介さんが見える。
 彼の視線はいつもの様子とは打って変わり、どこか獰猛な動物を感じるほどギラギラしている。
 そう思った瞬間だった。孝介さんの唇が、私の唇に初めて触れた。
 最初は、ゆっくりと唇の感触を味わうような動きだったが、私は生まれて初めてのキスに翻弄されてしまう。
 相手は、ずっとずっと憧れを抱き続けていた孝介さんだ。ドキドキしない方がおかしい。
 驚いて目を見開いていたが、孝介さんの色っぽい視線を感じて、すぐに目を閉じた。
「そう……キスをするときは、目を閉じて。俺の唇にだけ集中して」
 キスをしながら甘く囁く孝介さんに、私は小さく頷くしかできない。
 フッと孝介さんが笑った気がした。どうしたのか、と目を開こうとしたとき、唇に生暖かく柔らかい何かが触れた。
 唇の感触とは違う、少しざらついたモノ。それが舌だと気がつき、背に甘く淫らな痺れが走る。
「っふ……」
 自分の口から甘い吐息が漏れた。それがますます私の羞恥心を扇いでいく。
「口を開いて、穂乃果ちゃん」
「ふぇ……?」
 どうして、と問おうとしたが、その声は孝介さんの舌に奪われた。
「んんっ……ぁ」
 ぬるりと柔らかい舌が口内に侵入してくる。

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