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【最終話】失恋おやゆび姫は溺愛紳士に翻弄されてます

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俺だけの……。
 
 GW初日。今年は土日も含めて六連休となった。社会人になってこれだけ長い期間休めるのは嬉しく思う。
 ましてや今日は、初めてリスちゃんが我が家を訪れているのだから。なのに――。
「うわぁー、可愛い! 風見さん、見てください! はな子、私があげたひまわりの種を食べてくれました!!」
 嬉しそうに可愛い笑顔を向けてくれたかと思うと、再び彼女の視線は、はな子に釘づけ。
 おかしい。最寄り駅まで迎えに行ったときは、彼女は緊張でガチガチだったはず。それなのに家に上がり、はな子と対面した途端目を輝かせ、それからずっとはな子にべったり。
 いや、俺だってリスちゃんに、はな子を会わせるのが楽しみだった。その時のリスちゃんの反応も早く見てみたかったし。
 予想以上にはな子を気に入ってくれて嬉しいけど……。
 はな子の家を眺めながら、顔を綻ばせる彼女の隣にそっと腰掛け、リスちゃんの肩に体重を預けた。
「え、風見さん……?」
 すぐにリスちゃんは身体を強張らせた。その反応が愛しくてたまらない。
 けれどすっかり放っておかれたわけで。仕返しと言わんばかりに彼女の膝に頭を乗せ寝転がった。
 いつも上からばかり見ていたリスちゃんの可愛い顔を、こうして下から眺めることは初めてだ。
「かっ、風見さっ……!」
 恥ずかしいのか頬を赤く染め、口をパクパクさせ始めた。
 あぁ、なんて可愛いのだろうか。彼女のすべてが可愛くて仕方ない。
 腕を伸ばし、彼女の顔を引き寄せ唇に触れると、ますますリスちゃんの顔は真っ赤に染まっていく。
そしてジロリと俺を見下ろし「もう……」なんて言いながら、唇を尖らせた。
 俺がプレゼントした香水の香りが鼻を掠め、おまけに破壊力抜群の可愛さに、思わず固まってしまう。
 だめだな、気持ちが通じ合えて俺の彼女になってもまだ足りない。リスちゃんのすべてがほしくてたまらないよ。
「有住……」
 彼女の名前を囁き、今度は自分から顔を上げていき唇にキスを落とす。
 一度彼女に触れてしまうと、いつも止まらなくなる。もっと彼女のぬくもりを感じたいと思ってしまうんだ。
 起き上がり、何度も唇を奪っていく。小さな身体で俺の気持ちを受け止めるように必死に応えてくれる彼女に、愛の言葉を囁きながら――。
 
 リスちゃんは俺と付き合い始めてからも、身長が低いことや、体形のことを気にしていて、俺に気づかれないよう努力をしている。
 まぁ、残念ながらそこは全部俺にバレバレなんだけど。それに気づかず努力を続ける健気なリスちゃんを、俺はますます好きになってしまうわけで。
 悪いけど、リスちゃん以上に魅力的な女の子なんていないし、この先も現れない。
 身長が低くても、リスちゃんがコンプレックスに感じている身体も、そのすべてが俺は愛しいんだ。
 
「大好きだよ」
 俺の腕の中で気持ちよさそうにスヤスヤと眠るリスちゃん。
 リスちゃんの寝顔ならいつまでも眺めていられる。静かな自分の部屋で彼女の寝息だけが響いていたところで、はな子がカタカタと動き出した。
 思わずはな子に向かって人差し指を立てて「シーッ」と言ってしまった自分に笑ってしまう。
「なにやっているんだか……」
 ぎゅっと彼女の身体を抱きしめると、リスちゃんは眉間に皺を寄せて「う~ん……」と唸り出した。
 一瞬起こしてしまったかと思ったけれど、どうやら寝言だったようでまた規則正しい寝息が聞こえてきた。
 ホッと息を漏らし、優しく彼女の身体を包み込むように抱きしめる。
 この身体は、ずっと俺だけのもの。……この先もずっと――。
 彼女のぬくもりを、この先もずっと感じていたいと思った。大好きな彼女とこの先の未来を共に過ごしていきたいと――。
 
END

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