【最終話】犬猿同期ふたりの恋愛攻防戦!?

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 カフェを出て手を繋ぎ、歩道を進んでいく。今日の行き先は聞いていないけれど……どこに連れていってくれるんだろう。
 やっぱりベタな夜景が見える高級レストランとか? 虎なら早くから予約していそう。
 それとも好きな食べ物を聞かれた時にお寿司って答えたから、寿司店かな?
 あれこれ予想しながら、彼に手を引かれるがまま歩を進めていくと、たどり着いた先は彼の自宅マンションだった。
 予想外で唖然となる。
「菊、今日は俺が食事を用意するからゆっくりしていて」
「え、虎が?」
 リビングに通されると、虎はジャケットを脱ぎ、エプロンをつけた。
「あぁ。……まぁ、料理っていう料理じゃないけど」
「手伝うよ?」
「大丈夫。ゆっくりしてて」
 そう言われてはそれ以上言えなくなる。
 リビングのソファに腰を下ろし、テレビをつけるものの、キッチンにいる虎が気になって全然テレビの内容が頭に入ってこない。
 その後、虎が私に振る舞ってくれたのはお寿司だった。まるで寿司屋のように私が食べたいネタを虎が握ってくれた。
「虎、すっごく美味しかった。お寿司握るの上手だね」
「サンキュ。お前に満足してもらえてよかったよ」
 虎は片づけまでしてくれて、洗い物をすべて終えた彼はエプロンを外すと、こちらにやって来た。
 てっきりソファに座っている私の隣に彼も座ると思ったのに、なぜか虎は私の前で立ったまま手を差し伸べてきた。
「え、なに?」
 意味がわからず首を傾げると、虎は「ん」と言い、手を取るよう促してくる。
 戸惑いながらも彼の手を取ると立たされた。
「こっち」
 そう言いながら虎が向かった先は寝室。
 え、ちょっと待って。私まだお風呂入っていないのに。今日、かなり仕事頑張ったから絶対汗臭いだろうし……。
 変に焦っていると虎に気づかれたのか、彼は「フッ」と笑った。
「大丈夫。ちゃんとお風呂に入ってからお前のことを抱くから」
「えっ!? いや、そのっ……」
 やだ、恥ずかしい!
 テンパる私を見てひとしきり笑った後、虎は寝室のドアを開けた。
「入って」
「……うん」
 彼は私の背後に回り、先に部屋に入るよう背中を押してくる。真っ暗な寝室に足を踏み入れると、虎はドアを閉め電気をつけた。
 その瞬間、私の目に映ったのはベッドに置かれた色とりどりのチューリップの花束。
 虎の態度からバレバレだったというのに、いざその瞬間がくるとドキドキして胸が苦しくなる。
 彼は足を進め、花束を手に取ると私と向き合った。
「本当はさ、いろいろと考えていたんだ。一生忘れられないプロポーズにしたかったから」
「虎……」
 すると彼は指折り教えてくれた。
「ベタだけど夜景が見えるレストランで、料理に指輪を仕込もうとか、好きな漫画と同じようなシチュエーションで言おうかとか、お前が好きな曲を弾き語りしようかとか」
 あまりにベタベタすぎるプロポーズの数々に、つい笑ってしまった。すると虎は子供みたいにむくれる。
「おい、これでも真剣に悩んで考えたんだぞ? それなのに笑うことないだろ?」
「……ごめん、つい」
 謝ると虎は大きく咳払いをし、仕切り直した。
「とにかくだ、俺は散々悩みに悩み、これにいきついた」
 そう言うと彼は私に向かって跪き、手にしていた花束を差し出した。
「俺たちの関係が大きく変わったのは、この寝室からだろ? ……ムードもなにもないってわかっているけど、どうしてもここで菊にプロポーズしたかった」
 一呼吸置き、彼は真っ直ぐ私を見つめてくる。
 さっきからドキドキしすぎて心臓が壊れてしまいそう。でも虎から目を逸らすことができず、ジッと見つめ返す。
 すると彼は小さく深呼吸し、力強い声で言った。
「一生大切にする。……片岡菊さん、俺と結婚してくれませんか?」
 真っ直ぐでストレートなプロポーズの言葉に、ポロポロと涙が零れ落ちた。
 けれどすぐに涙を拭い、彼に抱き着いた。
 虎は手にしていた花束を床に落とし、しっかりと私の身体を受け止め強く、強く抱きしめる。そんな彼に答えた。「……はい!」と。
「今さらプロポーズは嘘だって言わないでね」
「言うわけねぇだろ?」
 冗談交じりに言いながら顔を上げ彼を見る。すると虎はすぐに甘いキスを落とした。
「もうなにがなんでも、離さないからな」
「……うん」
「幸せになろう」
「……うん!」
 その後、何度も何度も甘い口づけを交わした私たち。将来の誓いをするように唇が腫れるほどキスを交わした。
 そしてベッドの中でもたっぷり愛され、目が覚めると私の左手薬指にはダイヤモンドがあしらわれた指輪がはめられていた。
「すごい虎、サイズぴったり。どうしてわかったの?」
 ベッドの中で抱き合い、指を絡ませながらわざとらしく問うと、虎は得意げに言った。
「それはもちろん愛の力に決まっているだろ? 俺はお前のことならなんでも知っているんだよ」
 だめだ、笑っちゃいそう。……でも今日はネタバレしないでおこう。
 いつか子供ができて、愛しい我が子に「パパにどんな風にプロポーズされたの?」って聞かれたら教えてあげるんだ。
 今までのことも、今日のことも、そして指輪のことも。
 そう思うと幸せな気持ちでいっぱいになって、たまらず私は彼に抱き着いた。

END

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