【3話】犬猿同期ふたりの恋愛攻防戦!?

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「そもそもどうしてあいつは毎回毎回、あんな奇抜なアイデアが浮かぶわけ? あ~んなわくわくしちゃうような催事がやっていたら、誰だって大泉百貨店に来たくなるし」
 櫻井は客のニーズを掴むのがうまいと思う。子供からお年寄りまで、彼の考えたイベントをやっているなら行きたいと思わせるから。
 私だって毎回お客様の立場に立って企画を考えている。それでも櫻井には毎回勝てない。私の遥か上をいくものを出してくるから。
 すっかり食欲は失せ、ボーっと白いご飯を眺めてしまう。すると真理はクスリと笑った。
「なんだかんだ言っても、最後には褒めちゃうんだから。それは菊が櫻井のことを好きだからじゃないの?」
「ち、違うから……!」
 すぐさま否定するものの、真理は容赦なく突っ込んできた。
「じゃあどうして入社してからずっと菊に、彼氏ができないのよ。それは櫻井のことが好きだからじゃないの?」
 とんでもないことを言い出した真理にギョッとなる。
「私に彼氏ができないのと、櫻井のことは関係ないでしょ? もういい加減にして!」
 とは言いつつ、私には社会人になってから一度も彼氏がいたことがない。
 仕事が楽しくてやり甲斐があり、恋愛する暇もなかったと言えば聞こえはいいけれど、そうではないんだよね。だって出会いのチャンスはいっぱいあるのだから。
 本社に配属された同期は男子が多いし、同僚はほぼ社内恋愛中。先輩や後輩にも声を掛けられ、食事に誘われたことが度々あったけれど、なぜか恋愛にまで発展しない。
 にこやかに声を掛けてきたかと思えば、少ししたらなぜか急によそよそしくなったり、食事に行った後、社内で見かけても一方的に避けられたり……。
 あれ、もしかして私に問題がある? 話してみたら想像していた人柄と違ってみんな離れていくとか? いや、でも櫻井のようにいきなり素で話したことはないのに……。
「どうして私には、彼氏ができないんだろう」
 思わずポツリと漏れた本音に、真理はすぐに答えた。
「そりゃ櫻井がいたら、誰だって菊にアタックしようとは思わないでしょ」
「えっ!?」
 なにそれ、どういうこと!?
 驚愕する私に真理はご飯を食べながら続ける。
「さっきも言ったけど、み~んなあんたたちが付き合うのも時間の問題だと思っているから。そんな相手がいるのに、菊のこといいなと思っても、わざわざアタックしてくる男なんているわけないじゃない」
 嘘……それじゃもしかして……。
「ちょっといい雰囲気になっても、進展がなかったのは櫻井のせいだったの?」
「まぁ、そういうことになるんじゃない? 櫻井との関係を知らずに声を掛けたけど、あとで真実を知って身を引くってパターンじゃないかな?」
 まさかの事実にガックリ項垂れた。
 けれどこれで納得できた。どうして私はみんなと同じように社内恋愛ができないのかを。
 私だって普通に恋愛がしたいのに、できなかったのは、櫻井のせいだったんだ。
 仕事だけではなく、プライベートでもあいつのせいで悔しい思いをしてきたなんて……!
 再び怒りがこみ上がってくる。
 第一、私と櫻井が付き合っていると勘違いされるのは、あいつにも彼女がいないからだ。お互い入社してからずっと恋人がいないから勘違いされ、付き合うのも時間の問題だなんて、あらぬ噂を立てられるんだよね。
「真理……私、決めた」
「んー? なにを?」
 モグモグさせながら尋ねてきた真理に、私は声高らかに宣言した。
「仕事で負けている分、恋愛では負けたくない。櫻井以上にカッコよくてデキる相手をゲットしてみせる!」
「……は?」
 両手拳をギュッと握りしめ気合いを入れる私に、真理は目を皿のように丸くさせた。
「だから櫻井以上の彼氏をゲットするって言っているの!」
 再度繰り返し伝えると真理は頭を抱え込んだ。
「どうしてそうなるのよ。彼氏なら櫻井でいいじゃない」
「いいわけないでしょ? なにがなんでも彼氏作るから! 真理、友達として協力してよね?」
 恋人がいない櫻井より先に彼氏を作って、尚且つあいつとの噂をもみ消すことができる最良の選択だ。
 こうなったら、なにがなんでも彼氏をゲットしてみせる!
 彼氏候補を見つけるために会社の飲み会に参加して、合コンがあれば積極的に参加しよう! そうすればきっと、私にも素敵な彼氏ができるはず。
 呆れ果てる真理を尻目に夢は広がるばかりだった。

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