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【51話】氷姫を蕩かす熱愛~侯爵様の優しいキス~

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「――ありがとうございます、ウォルト様。きっとわたしのために、お母様の罪を明らかにしてくださったんですよね」
「君が心から安心して暮らすためには、それが必要不可欠だと思ったんだ」
「嬉しいです。わたしのこと、そこまで思ってくださったなんて……。本当に、ありがとうございます」
 改めて礼を述べると、ウォルトも少し安心した様子で微笑んだ。
 彼としてはフィオーナの懸念を拭いたい思いはあっても、真実を告げることには迷いがあっただろうから、すべてを知った上でこう言われれば、罪悪感が少しは解消されたのかもしれない。
「――さて、それじゃあ、傷の手当てをさせてくれ。足をかばっていただろう?」
「ええ、少し、打たれて……」
 ウォルトが床に跪き、ガウンの裾をめくってフィオーナの足を露出させる。何度も打たれたふくらはぎや臑に、痛々しい青あざがいくつかできていた。さらに服を脱いで確認すると、腕や背中にも痕がついているらしい。
「ひどいな……それに、顔や髪も汚れている」
「あ、きっと倒れ込んだときに汚れたんだと……」
「先にお風呂のほうがいいかもしれない。幸い、血が出ているところはなさそうだ」
 メイドたちに風呂の支度も頼んだので、浴槽にはすでに温かな湯が張られている。
 ウォルトに抱えられて――自分で歩けると言ったが、ウォルトに「だめ」とあっさり却下されてしまった――フィオーナは湯の中へ静かに降ろされた。
「っ……」
「痛む?」
「いえ……。……あ、あの、ウォルト様」
「ん?」
 ウォルトがスポンジを泡立てているのを見て、フィオーナは「まさか」と目を見開いた。
「あの、身体を洗うのは、自分でできますので――」
「いや、君は怪我人だし、入浴中に倒れでもしたらいけないから、僕が洗ってあげるよ」
「……」
 下心のない真面目な顔で請け負われて、フィオーナもそれ以上なにも言えなくなった。
 とはいえ、彼に身体を洗われるなど恥ずかしすぎる。ぎゅっと目を閉じて身を固くしていると、やがてスポンジがするりと腕を撫でてきた。
「あっ……」
「楽にしていて。痛かったら言ってね」
 痛くはない……痛くはないが、ウォルトに洗われているというだけで妙な心地になってくる。メイドたちに洗われているときは別段なんとも思わないのに。
 こちらを気遣って優しく撫でるように洗ってくるから、よけいにむずがゆかった。
「んっ……」
 傷のある足を丁寧になぞられるが、痛みよりもゾクゾクした喜悦を感じて焦ってしまう。
 妙な声が漏れないように気を張っていたから、汚れを丁寧に落とされ、かけ湯をされる頃には、ぐったりと疲れ切ってしまっていた。
「大丈夫?」
「……は、はい。……!? ウ、ウォルト様も入るのですかっ?」
「うん、濡れちゃったから」
 濡れたシャツや脚衣をさっさと脱ぎ捨て、あっという間に全裸になったウォルトを見て、フィオーナは慌てて両手で顔を覆った。
 みるみる真っ赤になる妻に、浴槽に入ったウォルトは声を立てて笑う。
「別に初めて見るものじゃないだろうに」
「そ、それでも、いきなりは恥ずかしいです……っ」
「ましてちょっと色っぽい気持ちになったあとだから、よけいに?」
「ひゃんっ……!」
 乳房の裾野を指先でするりと撫でられ、フィオーナは思わず飛び上がった。
 からかわれてしまう予感に思わず身体を引こうとするが、その前に彼にぎゅっと抱き寄せられて胸が大きく高鳴る。何度も肌を沿わせてきたが、お湯の中で抱き合うといつもと違う感じがして、とても不思議な心地だった。
「ごめんね、もっと早く助けに行けなくて」
「ウ、ウォルト様……?」
「改めて見てみると、たくさん傷ができていたから……。怖かっただろうね」
「ウォルト様――」
「本当にごめん」
 さっきも謝ってくれたのに、改めて告げる彼に、愛しさと切なさが湧いてたまらなくなる。
 ましてフィオーナを抱きしめるウォルトの肩は細かく震えている。彼自身、暴行を受けた妻の姿に、相当ショックを受けたであろうことが察せられた。
「わたしは大丈夫です。こうして助けていただきましたし……フィルのことは気がかりですけど」
 メイドたちのことだから、きっと今頃は獣医を呼んでフィルを診せているだろう。心配な表情を見せるフィオーナに、ウォルトは苦笑した。
「フィルはお手柄だったね。僕より早く助けに入るなんて」
「あっ、ウ、ウォルト様にきていただいたのも、安心できました」
「ふふ、大丈夫だよ。わかってる」
 まるでウォルトよりフィルに感謝している言い方になったことに慌てるフィオーナに、ウォルトは寛大に微笑んだ。
「ただ……君さえいやじゃなければ、少しだけこうさせていて。君が無事だったことを実感したいから」
 肩口に額を押しつけながら懇願されて、フィオーナもいやとは言えなくなる。むしろ大丈夫だと伝えたくて、自分から彼の肩をぎゅっと抱きしめた。
 ……だが、裸でふれあっていると、それだけで落ち着かないのも確かで。
 やがてウォルトの手がお尻をそろりと撫で上げてきたので、フィオーナもびくんっと反応してしまった。
「……ウォルト様ったら」
「ごめんね、節操なしで」
 わずかに顔を上げたウォルトは悪戯っぽく微笑んでくる。
「いいかな?」
 そう尋ねられると、いやとは言えないフィオーナだ。頷く代わりに彼の額にキスすると、すぐに唇にキスが返ってきた。
「ふっ……」
 お互い抱きしめ合いながら、ゆるりと舌を絡めて気持ちを高め合う。彼の胸板に潰された下で乳首がピンと張り詰めるのを感じ、フィオーナは目元を赤らめた。
 だがウォルトの一物もすでに首をもたげ始めている。熱い屹立がお腹に押し当てられるのを感じると、それを挿入されたときの快感を思い出して、身体は勝手に興奮してきた。
「キスだけでイっちゃいそうだね」
 ウォルトが冗談めかしてつぶやいたが、あながち嘘でもないかも、とフィオーナは思う。
 こうして口づけ合うだけで、ウォルトの愛が伝わってきて、身体も心もあっという間に蕩けてしまうのだから。
「あっ、んん……っ」
 蜜口にするりと指が差し入れられて、フィオーナはかすかに上向く。キスだけでほころんだ蜜口は、慣れ親しんだ夫の指を歓迎するように咥え込んだ。媚肉がうねって、きゅうっと切なく締めつけてしまう。

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