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【11話】一途な次期公爵様は身ごもり令嬢を逃がさない

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5.やっと見つけた

 あの日の彼女をゼロから探し続けて、手掛かりになる情報が少しずつ集まってきた。
 彼女は面倒見がよく、メイド見習いなどの下働きの少女たちにも公平に接し、仕事を教えていたのだという。
 そんな少女たちに聞くと、王宮を辞める前は少し体調を崩していたようだ。
 顔色の悪い日もあったが、真面目に働いていたという。
 そんなサリーにも仲のいい侍女見習いがいたが、彼女もサリーが王宮を離れたすぐ後に、結婚を機に辞めてしまったらしい。
 その女性は、俺の友人である次期辺境伯の元に嫁いだと聞き、彼に手紙を出すことにした。
 本来の後継ぎである長男は学者肌で研究に没頭しており、次男である友人が後継ぎとなっているのだ。
 本当は直接会って話を聞きたい、彼女について教えてほしい。
 しかし、自分の仕事柄王都から離れることができず、まずは手紙で聞いてみることにしたのだ。
 辺境までは手紙ですら一週間は届くまでに時間がかかる。
 じりじりと過ぎていく時間に焦りながら、待つことしかできない日々を送ることになった。
 そうして手紙を出してからちょうど二週間後、次期辺境伯である友人の名で返信があった。
 心して開くとそこには彼の夫人、サリーと仲の良かったあの侍女見習いからも一筆あった。
『本人に確認せぬままに、彼女の行方を教えることはできません。友人としてそこは譲れないので許してください。しかし、あなたが真に彼女を探しているのだというのなら、今度の王宮の夜会でお話ししましょう』
 やはり、会って話ができなければ無理だという反応にもっともだと思いながらも肩透かしを食らったような気がしてしまう。
 そんな落ち込んでいる俺にナイジェルは声をかけてきた。
 あの舞踏会からすでに四か月が経ち、季節は夏の盛りで社交シーズン真っただ中だ。
「なんだ、またどっかの貴族にうちの娘はどうでしょう? とでもゴリゴリ来られたのか?」
 見当違いであるが、最近は増えているのも間違いないその話を思い出して嫌な顔をしていることを自覚し頷く。
「どっかの侯爵だとか伯爵だとかが夜会のたびに隣に娘を引き連れてやってくるな。あれにはいい加減うんざりしているが、今回はちょっと違う」
 そんな返事をした俺に、ナイジェルは少し面白そうな顔をして聞いてくる。
「じゃあ、その落ち込みはどうした?」
 ナイジェルの様子も面白くはないが、彼女を探しているのを知っているのはナイジェルくらいだ。
「あの仮面舞踏会で会った彼女の名前がわかったが、家族も行方を知らないそうだ」
 簡潔に説明すると、その内容にナイジェルも目を丸くして驚いた顔を見せた。
「あの時の彼女をまだ探していたんだな。そして、せっかくどこのだれかはわかったのに、行方知れずと……」
「あぁ、そうだ。王宮は二か月前に辞めていて、実家に戻ると聞いたからそちらに手紙を送って聞いてみるも、戻ってないと。いなくなったものとして扱ってくれと言われて、彼女の両親も心配している。だが、王都は領地から遠く、様子を見にくることもできないと言っていた」
 そんな話に頷くと、ナイジェルは言った。
「じゃあ、彼女はたぶん王都からは出ていないな」
「そうは思うんだが、その王都での目星を付けたくて、彼女と仲の良かった元侍女見習いが辺境のジェファードに嫁いでいるのを知って、手紙を出した。その返事がこれだ」
 そうして来たばかりの手紙をナイジェルに見せれば、彼は朗らかに笑って言う。
「来月の王宮の夜会まで待つしかないだろうな。王都は広いし、手掛かりなしに一人の人間を探すのは困難だろう? いくらマクレガー公爵家の力があっても」
 その返事に、思いっきりため息をつきながらも同意を示す。
「そうだ、待つしかないんだが……。近くにいると仮定すれば、もどかしいものだろう?」
 そんな俺に、ナイジェルは笑って言った。
「お前の意中の相手、早く見つかると良いな」

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