【32話】堕ちて幸せ!?~復讐に燃える完璧令嬢は魔王の花嫁になりました~

作品詳細

 ルーファスは赤い目でじっと私を見て、暫くポカンとしていた。
 けれど泣き笑いのような表情で笑い──、ギュッと私を抱きしめてくる。
「……俺も、ライラが好きだ。大好きだ。愛してる」
 三段階で大きくなる愛の表現に、私は笑って彼の背中を撫でた。
「あなたの愛情を疑う訳じゃないけれど、本当に私でいいの? 特に可愛げもない女よ?」
「ライラがいい。純粋で、目的のために頑張れる女で、決して他人のせいにしない。崇高なほど気高くて……、俺の妻に無理矢理したのも申し訳ないぐらいで」
 また、ポツポツと降り注ぐようなルーファスの愛情を感じる。
「ライラが好きなんだ。いつも頑張ってて、優しくて。他人に誤解されやすいけど、お人好しなぐらい優しくて。──魔鏡でライラをずっと見守っていた」
「……私をずっと見守ってくれていたの?」
 心の奥底にある井戸に、一滴の清らかな雫が落ちたようだった。
『ずっと』というには、きっと数年の出来事だと思うけれど。それでもパッと見で私を選んだのではなく、熟考した上で求婚してくれていたのなら、この上なく嬉しい。
「……欲望渦巻く人間の舞踏会で、絶望している人間がいないか見回っていた。そしたら──、凛と咲く花のようなライラを見つけた。真っ直ぐ前を見て、背筋を伸ばして。愛嬌を振りまけば誰でも簡単に落ちそうなのに、不器用だからそれができない。……ずっと、ライラがどうやって幸せになるか見守っていた」
 それは初めて聞いたことだった。
 今までずっと、ルーファスは私の顔が好きで、絶望していたから丁度いい。それぐらいに思っていたと認識していた。
「……だから、ライラの恋が上手くいかなくて喜んでる俺がいた。ライラが苦しんでいる時も……、俺はずっとお前を呼び寄せることを考えていた。……俺は……」
 自分の心を吐露するルーファスは、とても苦しそうだった。
 私の心の弱みにつけこんだと、そう思っているのだろうか?
「……違うわよ、ルーファス。あなたは私を愛して救ってくれた。あなたが私に謝って、苦しむ必要はないわ」
「……許してくれるのか?」
「バカね。これ以上謝ったら怒るわよ? あなたのお陰で、私だって目が覚めたんだし」
 そう、今ならあの魔鏡で知ったことの意味が分かる。
 ルーファスは私に現実を教えてくれた。
 この世界には正しい道理の元、正しい人々がいると思い込んでいた私に──、人の心の裏側を見せてくれた。
 清楚な女性の心は外見通りではなく、野心があるということ。
 素敵な王子さまだって、人に言えない女性の趣味があり、色んな女性と遊びたいと思っていること。
 他にももっと……、私が知らないだけで多くの人には多くの『裏側』があるのだと思う。
 私は──子供だった。
「ライラに嫌われたくない」
 赤い目がキュウッと細められ、私だけを甘やかす手がどこか怯えながら頬に触れる。
「あなたが好きよ。いつも私が何を言っても、しても怒らない所も。……大事なことを教える時は、自分が傷ついても私に道を示してくれる所も。私は……あなたの優しさに救われている」
 ルーファスはもう一度私を撫でて、──キスをする。
「側にいていいのか? お前の夫でいていいのか? ──愛して、いいか?」
「あなたのすべてを受け入れるわ」
 もう何も迷わない。
 地上でのすべてのしがらみを捨てて、私はこの人の真の妻となる。
 そして──、第二の人生を幸せに生きるのだ。
 彼の手を取り、自分の胸に導く。
「……ちゃんと食べて、また健康な体になるから」
 照れ笑いをすると、ルーファスも幸せそうに目を細めた。
「大丈夫。痩せてても全部好きだから」
 もう一度キスをされ、彼は本格的に私の体を愛し始めた。
 体のラインをなぞられると、吐息が震える。
 胸を優しく捏ねられ、その先端をキュウと摘ままれると、久しく感じていなかった快楽を得た。
 温かな舌は私の口腔をねぶり、執拗なまでに愛してくる。
「ん……、ふぁ……っ」
 二人分の愛情が口から溢れてしまそうで、私はゴクッと喉を鳴らして唾液を飲み込む。
 いつの間にかネグリジェの前ボタンは、すべて外されていた。
「ライラ、好きだ。……いい匂い」
 私の首元でルーファスが囁き、スゥッと息を吸い込んでから首筋に吸い付いてくる。
「あ……っ」
 それだけでお腹がキュンと疼いてしまった。
 熱い唇が、私を求めて移動する。
 より感じる場所、感じる場所へと、舌で探りながら下がってゆく。
「ルーファス……。好き。もっと私を愛して」
 囁く声に燃え上がったのか、ルーファスは私の胸を揉み上げながら鎖骨の下に思い切り吸い付いてきた。
「あっ……、いたっ」
 前歯を立てて強く吸われ、思わずそう口走る。
 けれど体に走り抜けたのは、強い快楽だった。

作品詳細

関連記事

  1. 【4話】クールな鬼上司の恋人モードは、甘々溺愛が止まりません

  2. 【25話】犬猿同期ふたりの恋愛攻防戦!?

  3. 【3話】堕ちて幸せ!?~復讐に燃える完璧令嬢は魔王の花嫁になりました~

  4. 【28話】犬猿同期ふたりの恋愛攻防戦!?

  5. 【25話】堅物夫(仮)を恋に落とす方法

  6. 【5話】クールな鬼上司の恋人モードは、甘々溺愛が止まりません

  7. 【4話】堅物夫(仮)を恋に落とす方法

  8. 【4話】堕ちて幸せ!?~復讐に燃える完璧令嬢は魔王の花嫁になりました~

  9. 【33話】堕ちて幸せ!?~復讐に燃える完璧令嬢は魔王の花嫁になりました~

Bookstore

dブックロゴ

bookliveロゴ

PAGE TOP
テキストのコピーはできません。