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【17話】高良さんに逆らえません!~過保護な俺様社長は甘すぎて危険。~

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「せっかくイケメンで優しそうで女扱い上手そうな、処女をもらってもらうにはぴったりの男性を見つけたのに、合コン終わった後で待ち合わせしてばっちりの展開だったのに、高良さんが邪魔するから、処女捨てそこねたじゃないですか! ええ、高良さんの言う通りですよ。本気で持ち帰られようとしてたんです。私はそんな女だったんですよ。もう軽蔑してもらって結構なんで、だから今後は邪魔しないで……えっ」
 ほとんど自暴自棄状態で捲し立てるように喋っていた明莉は、言葉の途中で急に腕を掴まれて驚いて声を上げた。あっと思う間もなくにくるんと身体が反転する。気付けば、エレベーターの横の壁に身体が押し付けられていた。
 ぐいっと顎が持ち上げられて、上を向かされた明莉の目に近付いてくる高良の顔が映った。その顔は怒っているようにも見えた。
「ん」
 柔らかいものが唇に押し付けられる。驚いた明莉の身体が硬直した。その間に、その柔らかいものは二度三度、強弱をつけて繰り返し押し付けられる。
 それはあまりに突然で、最初明莉は何が起こっているのか分からなかった。呆然としたままキスを受けて、しばらく後、自分がキスされていることにやっと気付いた。
(キスされてる……!?)
 ちゅっとリップ音を立てながら、唇が離れた。
「……なんで」
「事情は大体分かった。処女捨てたいんだろ? じゃあ俺がもらう」
 高良は乱暴に口の端を上げると、明莉の手をぐいっと引いた。
 そのまま停めてある車の所まで歩いていくと、助手席のドアを開けた。見覚えのある黒のボディのSUV車は高良の自家用車で、高良はこの車を通勤にも使っている。
「乗って」
 とん、軽く背を押されて、呆然とした面持ちのまま、強引に中に乗り込ませられた。明莉がシートに収まったのを確認すると、高良は扉を閉めて、運転席に回り込んだ。
 小さなエンジン音を立てて、エンジンがかかる。そのまま発車するのかと思いきや、高良が運転席から助手席へ身を乗り出して、明莉の身体にまた覆いかぶさってきた。
 顔が近付いてきて、またキスされるのだと察知した明莉は、ようやくそこで思考力を取り戻した。
「ま、まって」
 触れ合いそうになる唇を寸前で躱す。
「なんで?」
 高良のむっとした声が聞こえた。
「いや、こういうのは……こんな勢いで、や、やめた方がいいと思います」
「はあ? 合コンで今日初めて会った男はよくて、なんで俺がだめなんだよ」
「そういうことじゃなくって……」
「その日に会った男なんて色々リスクあるのわかってんのか? 性病もってるかもしれないし、避妊だってままならないかもしれないだろ。何かヤバイ性癖持ってるかもしれないし、ろくな前戯もしないで突っ込む男かもしれない。俺は病気はないし、避妊もちゃんとする。ヤバイ性癖もないつもりだし、もちろん嫌がることはしない」
 至近距離で話す高良の顔に明莉は釘付けになった。今までこんなに間近で見たことなんてなくて、こんな状況なのに、場違いにも格好いいと思ってしまった。二重瞼の涼し気な目元。目力のあるその目を少し細めながら真剣に見つめられてクラクラしてしまう。
 イケメンの破壊力は抜群だ。しかもずっと好きだったのだ。その男にこんな風に真剣に口説かれるように迫られて、きっぱり拒否できる人がいたら見てみたい。
「できる限り優しくする」
 優しく指の腹で頬を撫でられる。その感触にもうっとりしてしまう。ずるすぎると思う。まともな思考が保てなくなる。
 ちゅ、と唇が落ちてくる。柔らかい。先ほどは驚きすぎてよく分かっていなかったが、唇ってこんな感触なんだと明莉は思った。
 何かいい香りがする。のしかかる身体から感じる人肌の熱が心地いい。何度もその柔らかい感触を押し付けられる度、たまらないような心地に陥ってしまう。
 だめだ、理性が負けそうになる。その大きな背中に抱き着いて、髪の毛に指を入れてぐちゃぐちゃにして、首の後ろのラインに指を這わせてみたい。ずっと触れてみたかった。身体中、どこもかしこも、どういう感触がするのか、確かめてみたい。
 しかし、明莉は最後の理性を振り絞って顔を背けた。唇が離れて、空いた隙間で吐息が絡まる。
「だめです……だめ」
「何が?」
「だ、だって、こんなの……後で絶対気まずくなります。その日限りだったら、終わってはいさよならってできるけど、明日も顔合わせて、どんな顔していいか……普通にできなくなる」
 ――それに、そんなことしたら絶対にもう二度と諦められなくなる。
 明莉はぎゅっと口を閉じて唇を噛み締めた。
「あーなるほど、それを気にしてたのか」
 ふっと高良が笑った。
「同じ職場で一晩限りは気まずいって?」
 その質問にコクコクと頷く。
「俺とお前の関係で、そんな中途半端な気持ちで処女もらうなんて言う訳ないだろ? それなりの覚悟はしてる。この先も責任は取る」
「……え?」
「だから、こっち向けよ。明莉」
 耳元で囁かれて、ぞくりと背中から何かが這い上がってくるような感覚を覚えた。こんな風に言われて見ないなんて無理だ。明莉はゆっくりと高良の方へ顔を向けた。
「……名前、呼んだ……」
「だめだった? さっきの合コン男にも名前呼ばせてたけどな」
「高良さんに呼ばれると、何かぞわぞわします」
「なんだそれ。じゃあこれからは仕事以外では全部それで呼ぶ」
 その言葉に答えようとしたら、もう黙ってと言われてまた唇を塞がれた。
 何度かついばまれた後に、ぬるりとしたものが唇の合わせ目から入り込んできた。処女だけど、さすがにそれなりの知識はあるので分かる。これは所謂ディープキスというものだ。
(高良さんとディープキス……!)
 信じられない心地で身体が震えた。差し込まれた舌先が歯列を擽り口蓋まで入り込んでくる。口の中を舐められて舌を絡められて、頭の中が痺れるようにして思考を止めていく。
「んっ」
 舌の真ん中ぐらいを擦り上げられると、ぴくんと身体が跳ねた。身体がじわじわとその体温を上げていく。とにかくじっとしていられない感じで、明莉は必死に鼻で息をしながら、高良のシャツを握りしめていた。

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