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【最終話】幼なじみエリート上司と一途で秘密な両想い

作品詳細

「なあ、少し散歩しないか? 近くに、公園があっただろう?」
「うん! そうだね、行ってみよう」
 もしかして、隼人も同じ気持ちでいてくれたのかな。もうちょっとだけ、ゆっくりしたいなって。
 そうならいいなと思いながら、二人でマンションから徒歩一分ほどの公園に向かう。
 滑り台やブランコがあり、結構広い公園だった。
「夕方だから、誰もいないね。子供は帰る時間か……」
 私たちが行ったのは、公園の奥にあるベンチ。周りには高い木があるからか、周囲からは見えにくい。
 そこへ座ると、隼人が私の肩を抱いてきた。
「佳穂、キスしていい?」
「えっ!? な、なんだか改めて聞かれると、恥ずかしいんだけど」
 だいたい、今までお伺いを立てられることなんて、なかったのに。両親への挨拶のあとだからか、隼人の調子もいつもと違う。
「だって、さっきエレベーターでくっついてきたろ? あの時点で、もう半分理性が飛んだ」
「く、くっついたって……。それは、そうだけど……」
 それじゃあ、まるで私から誘ったみたい。急に恥ずかしくなっていると、隼人が呆れたような顔をした。
「答えてくれないなら、無理やりする」
 そう言って、私の唇を塞いだ。そして、強引に舌を押し入れてくる。あっという間に唇が濡れて、体が熱くなってきた。
「ん……」
 いくらひと気がないとはいえ、ここは外。声を出してはいけないと思うのに、抑えていても出てしまった。
 何度かキスを交わすと、隼人が唇を離した。いつ人が来るかも分からない場所で、私の胸はドキドキしている。
「やっぱり、帰ろう。これだけじゃ、物足りない」
「ふふ、隼人ってば」
 思わず笑うと、彼はムッとした。
「仕方ないだろう? 佳穂といると、頭の中がお前のことでいっぱいになるんだよ」
 強引に私の手を掴み、立ち上がらせる。そして、駐車場へ戻り始めた。
「私もよ。隼人といると、隼人のことばかり考えてる。隼人のご両親にお会いするのが、本当に待ち遠しい」
「そうだな。ひとまず、佳穂のご両親には感謝しかない。あんなに、心よく受け入れてくださって」
「だって、父も母も隼人が大好きだったから。本当に、喜んでくれていると思う」
 車に着き、ロックを解除すると乗り込んだ。運転席でシートベルトを着けていた隼人が、私を笑顔で見た。
「喜んでいるなら、俺の両親もだよ。散々釘を刺されたから。万が一、佳穂を泣かせるような付き合い方をしたら、親子の縁を切るってね」
「おじさまと、おばさまがそこまで?」
 目を丸くすると、隼人は頷いた。
「十年間、佳穂を覚えていたのは、両親も一緒。あんなに優しくて、俺に合う子はいなかったなって」
「お二人が、そこまで……」
 たしかに、子供の頃から、遊びに行くと、いつも笑顔で迎えてくれた。風邪で学校を休むと、隼人と一緒におばさまもお見舞いに来てくれたこともあった。
 今になって分かるご両親の温かさに、涙が込み上げてくる。すると、隼人がそれをそっと拭ってくれた。
「だけど、勘違いするなよ。一番、お前に会いたくて、一番お前を想っていたのは俺だ」
「うん。もちろん、勘違いしない。私だって、他に好きな人を作れないほど、隼人だけだったんだから」
 涙で滲む視界に、彼の真剣な表情が見える。すると、彼がそっと私の左手を取った。
「この指輪は、俺からの誓い。佳穂を一生かけて、愛して守ると。だから、お互いを信じて一緒にいよう。もう、絶対に離れない」
「うん……。誓う。私は、隼人だけを愛してるから」
 彼の手をぎゅっと握って、私は自分の想いを口にする。もう絶対に離れない、その言葉は私も何度思ったことか。
「俺も、愛してるよ佳穂……」
 そして隼人は、薬指にキスを落とした。それは、彼からの誓いのキス。私も、応えるように彼の唇へキスをした。
 それを合図のように、私たちは車中で、何度も口づけを交わす。溢れる想いを、止められないかのように。
 これからは、ずっと隼人の側にいる。来年の春までは、待ち遠しくてそわそわしそうだけれど、残された彼の恋人としての時間を、堪能していよう。
 暖かい季節がやってきたら、私たちは永遠の愛を誓う。ようやく掴んだ十年越しの想いを胸に。
 届きそうで届かなかった、私たち一緒の未来がスタートするまで、あともう少し。
 十年前の私、もうちょっとだけ頑張って。きっと、待っているから。この上ない幸せが、大きな手を広げて、あなたを待っているから──。

<END>

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