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【26話】幼なじみエリート上司と一途で秘密な両想い

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「隼人は、昔から心配性よね。中学の頃も、部活が遅くなると心配して、うちまで送ってくれたじゃない?」
 あの頃も、『心配をさせるなよ』って言ってくれていたっけ。
「そうだよ。あのときから、佳穂が好きだったんだ。心配するのは、当たり前。それに、俺が心配するのは佳穂だから。そこのところ、分かってる?」
「う、うん……」
 隼人はソファの背もたれに両手をつくと、私に顔を近づける。彼に捕まえられたようで、途端に胸は高鳴った。
「まったく、お前は本当に俺を振り回すよな。もう、愛おしくて仕方ない」
 そして、唇を塞がれる。舌を絡めるような濃厚なキスに、私の体は熱くなっていった。
「ん……」
 たまらず隼人の服を掴むと、そのままソファに押し倒される。そして、彼のキスは首筋へと移った。
「は、隼人……」
 戸惑う私にお構いなしに、隼人は私の服を脱がせた。
「二人きりなんだ。いいだろう?」
 耳元で囁かれ、私は彼を受け入れる。静かなリビングには、二人の乱れた息遣いと、ソファの軋む音が響いていた。

 日中は、隼人と部屋でのんびりと過ごした。社内の人には秘密の交際だから、なかなか出かけることができない。
 隼人は、そのことを気にしていたけれど、私は全然構わない。十年を越える彼への想いが報われたのだから、不満なんてあるはずがない。それよりも、二人でいられる時間が、なにより貴重だった。
「隼人、明日は帰るね。さすがに、ここから出勤ってわけにもいかないから」
 お風呂を終えた私は、リビングのソファに座っていた隼人に声をかける。すると、立ち上がった彼が私の側へ来た。
「そっか……。残念だけど仕方ないな。じゃあ、今夜は思い切り二人の時間を堪能しよう」
「うん……」
 隼人に唇を塞がれて、あっという間にドキドキしてくる。なんて、幸せなんだろう。
「じゃあ、風呂入ってくるから。佳穂は、ゆっくりしてて」
「分かったわ」
 すると、隼人はバスルームに向かいかけたところで、振り向いた。
「なあ、今度は一緒に入ろうな」
「えっ!? う、うん……」
 気恥ずかしいことをさらっと言われ、顔が熱くなってくる。そんな私に気づいた隼人は、クスッと笑ってバスルームへ行った。
「まったくもう……」
 顔を手で扇ぎながら、ソファに座りテレビをつける。隼人に振り回されている気がするけれど、それを嫌だと感じることはない。
 むしろ、ときめいて恋心がどんどん加速する。彼への想いで胸がいっぱいになっていると、インターホンが鳴った。
「お客さんかな?」
 そう思ったけれど、二十一時で来客もないか。きっと、宅配便だろう。隼人はお風呂に入っているし、代わりに出たほうがいいかも。
 インターホンに向かい、ボタンを押して応答する。
「はい」
 と声をかけた瞬間、青ざめた。モニターに写っているのは、絵美だったからだ。
 宅配業者だと思い込んでいた私は、ちゃんと画面を確認せずに応答してしまった。
「え……? 佳穂? 佳穂なの?」
 彼女は声ですぐに分かったらしく、動揺している様子が映っている。そして、じっとモニターを見据えた。
「佳穂なんでしょう? どうして、隼人くんの家にいるの?」
 問い詰めるような口調に、私はどう返答していいか分からない。正直に話したほうがいいのか。でも、そうしたら絵美は周囲に話すかもしれない。
 私は仕方ないとしても、隼人の仕事に影響するのだけは避けたい。
「うん……。私よ」
「ねえ、なんで佳穂がこんな時間に、隼人くんの家にいるの? それに、なんであんたが出るの?」
 絵美の顔は、動揺から怒りの表情に変わっている。
「田辺課長に、相談があって……。課長、今は電話中なの。仕事のことで、忙しいみたいだから」
 嘘を言って誤魔化していることに、心がとても痛む。絵美が納得できるか自信はないけれど、なんとしてでも帰ってもらわないといけない。
 心の中で何度も“ごめん”を言いながら、絵美の反応を待つ。すると、彼女はうなだれた。
「分かった。今夜は帰るわ。隼人くんに、私が来たことを伝えておいて」
「うん……」
 絵美はそれだけ言い残し、立ち去った。ホッとしながらも、罪悪感でいっぱいになる。
 彼女とは、友人というほど絆はないけれど、一緒に仕事をしてきた同僚ではある。それに、絵美が隼人を好きだという気持ちも知っている。
 私は、彼女の気持ちを大事に思えなかった。落ち込み気味になりながら、ソファに座り込む。

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