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【18話】幼なじみエリート上司と一途で秘密な両想い

作品詳細

「いいもなにも、佳穂を連れていくのが俺の夢だったから。こっちこそ、ありがとう。夢を叶えてくれて」
「そんな……」
 まさか、自分がお礼を言われるなんて思ってもいなくて、心に熱いものが込み上げてくる。隼人はずっと、私のことを想ってくれていたんだと、それが改めて分かって言葉にできない嬉しさがあった。
「なあ、あの鈴のジンクスって本当だったんだな」
「鈴って、修学旅行のときの……?」
 突然、話を振られてドキッとする。私もそのうち、隼人に聞いてみたかったから。
「そう。さっき、佳穂の家で鈴を見たから」
「あ、そっか……」
 隼人が来る前に眺めていて、そのままにしておいたんだった。見られたのが、ちょっと恥ずかしいな。
 もう彼には分かっていることとはいえ、隼人を忘れられなかったことを象徴しているものだから。
「うん。あのとき話をしようかとも思ったんだけど、お前を抱くのに必死で、余裕がなかったんだよな」
 と、楽しそうに話す隼人に、私は照れくささが込み上げる。
「ちょっと、そういうことを言わないでよ。恥ずかしいじゃん」
「佳穂の反応を、楽しんでるんだよ。本当、可愛いね」
「もう……」
 隼人はニッとした顔を向け、そしてまた真っすぐ前を見据えて運転をした。
 子供の頃は、こんなに隼人に振り回されていなかったと思うけれど、それだけ今の私は少しくらいは素直になれているのかもしれない。
 あの頃はまだまだ、彼に憎まれ口ばかり叩いていたし、反論もいっぱいしていたと思う。
 でも今は、大人になった彼に、私が調子を狂わされているみたい。

 車で約二時間、着いた場所は山の中のコテージだった。通りをひとつ越えると、そこはもう観光地で、お店や旅館がたくさん建っている。
 賑やかだけれど、隼人の別荘は少し離れているからか、静かで落ち着いた雰囲気だった。
 隣の別荘までも距離があるから、本当に二人きりの世界みたい。
「素敵ね。テラスからの眺めもよさそう」
 隼人はドアの鍵を開けながら、私に笑みを見せた。
「気に入ってくれてよかった。テラスからは、夜は星が見えるんだ。今夜は天気がよさそうだから、きっと見れるよ」
「本当!? すごく楽しみ。星空なんて、見ることないもの」
 ついテンションが上がり気味になると、隼人はクスッと笑っている。そんな彼に、私も微笑みを返した。
 木でできたコテージは、二階建てで、中がとても広かった。暖炉があり、冬は本当に使うらしい。
 テーブルやイスも、木目調の家具で統一されていて、オシャレな感じだった。
 二階は寝室になっていて、部屋が四つほどある。そのなかの一つが隼人専用の部屋らしく、そこへ案内された。
「ここからの眺めも素敵。街が見下ろせるのね」
 バルコニーがあり、外へ出てみる。標高の高い山へ来ていることもあり、市街地が見下ろせた。
「ああ。ただ、だいぶ遠いだろ? さすがに、夜景というほど綺麗には見えないけどな」
「だから、その分、星空が見えるんでしょう? とっても楽しみ」
 夜までは、まだ時間がある。隼人と相談をして、大通りを散歩することにした。
 観光地化している場所だけあって、お土産物屋が多く、見ているだけでも楽しめる。
 カフェやレストランも種類がたくさんあり、二人でスイーツのお店でお茶をしたあと、夕食はフレンチレストランに行った。
 贅沢な一日を過ごし、別荘へ戻ったのは二十一時頃。温かいお風呂で温まったあとは、隼人とテラスへ出た。
「空気がおいしい。街と違って、澄んでるのね」
 思わず深呼吸をしたくなるほど、夜の空気は昼間とは違う。感動しっぱなしの私の肩を、隼人が優しく抱きしめてくれた。
「寒くない? 夜は、結構冷えるから」
「ありがとう。大丈夫よ。隼人といると、あったかいね」
 こうやって、体を寄せ合っていると、より彼の温もりが伝わってくる。気持ちも満たされているからか、夜風の寒さなんて感じてもいなかった。
「あっ、流れ星」
 夜空を見上げていると、たしかに星が流れた気がする。興奮気味に隼人を見ると、彼にクックと笑われた。
「よかったな。ここは、けっこう流れ星が見えるんだ」
「そうなの? じゃあ、また流れるかも。絶対に、お願いごとをしなくちゃね」
「なにを願うの?」
 と、隼人に聞かれ、おずおずと答える。
「隼人とずっと、一緒にいられますようにって……。隼人もなにか、お願いごとをする?」
 言葉にすると恥ずかしいけれど、二人きりの時間が私の心を素直にさせた。
 どんなお願いごとをするのかな? “俺も”とか言ってもらえたら、嬉しいんだけど。

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