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【16話】幼なじみエリート上司と一途で秘密な両想い

作品詳細

 こんなお天気のいい日に、一人でいるのはもったいない。そうだよね、私たちもう恋人同士なのだから。
 会える日は、いっぱい会わないといけないよね。十年間という時間を、これから隼人と埋めていく。
 掃除が終わると、ふとチェストが目についた。以前、絵美が言っていた隼人のキーホルダーの話。
 ペアとして買ったピンクのものは、ここに入っている。そっと引き出しを開け、箱に収めてあったそれを取り出す。
 だいぶ色落ちがして、鈴の部分に錆も見える。だけど、それを揺らすと、心地いい音色がした。
 恋を叶える鈴の効果は、あったみたい。懐かしく感じながら思い出に浸っていると、インターホンが鳴った。
 慌てて鈴を置いて、玄関に向かう。ドアを開けると、隼人が立っていた。
 ネイビーシャツと同系色のパンツを合わせていて、カジュアルなのに大人っぽい。再会して私服姿を見たのは初めてだったから、彼のかっこよさにドキッとしてしまった。
「早かったね。車を停めるの大丈夫だった?」
「大丈夫。来客用に停めたから」
「よかった。どうぞ、中へ入って」
 彼を招き入れ背中を向けた瞬間、後ろから抱きしめられた。
「は、隼人……?」
 突然のことで、混乱する。すると、隼人が耳元で囁いた。
「なあ、佳穂。俺の彼女になったって自覚ある?」
「あ、あるよ……。当たり前じゃない」
「そうかな。その割には、妙にあっさりしてるよな」
 意地悪く言う隼人に、さらにパニックになる。これは、なにを伝えようとしているんだろう。
 私に対して怒っているのかな。それとも、もっと違う意味があるのかな──。
「あっさりなんてしてないって。今も、ドキドキしてるもん」
「本当に?」
 隼人は私を振り向かせると、軽く睨んでいる。必死に頷くと、彼は顔を近づけてきた。
「俺にはそう見えない。お前には、まだまだ調教が必要だな」
「え? なに、それ……」
 緊張でいっぱいの私は、自分でも頼りない声を出したと思う。だけど、そんなことにはお構いなしに隼人は唇を重ねた。
「ふ……。んん……」
 舌を大きく絡みつけられ、静かな部屋にキスと乱れた呼吸の音が響く。隼人は私の背中に手を回し、痛いくらいに抱きしめてきた。
「俺がどれほど、お前に会いたくて、その想いを抑えてきたか……」
「そ、それは、私も一緒よ……」
 唇が離れた瞬間の会話ですら、まともにできないほどすぐに塞がれる。玄関先での口づけに、ドキドキする気持ちが高まっていった。
 もう、これ以上立てない。足に力が入らなくなったとき、隼人が私を抱き上げた。
 といっても、昨夜のお姫様抱っこではなく、まるで子供を抱くように彼は私の体を持ち上げるように抱いた。
「やっぱり、佳穂は軽いから簡単に抱き上げられるな。足、震えてたろ。ちょっと休めよ」
 そう言った隼人は、部屋の奥へ進むと、私をベッドへ寝かせて覆い被さってきた。
「昨夜は夢じゃなかったんだと、俺にも思わせてくれる?」
「ど、どういう意味?」
 胸の鼓動が加速する。ドキドキする気持ちで隼人を見つめると、彼は私の手を取った。
「今日は、佳穂から俺の服を脱がせて」
「えっ!? 今から……するの?」
 驚きと戸惑いが混じりながら言うと、隼人は呆れたような顔をしている。
「ったく、ムードもないな。じゃあ、俺から佳穂の服を脱がす」
「ま、待ってよ。でも、ここ狭いし……」
 シングルベッドを、こんなに手狭に感じたことはなかった。さすがに、落ちてしまいそう。
 せっかくだから、もっと広い場所のほうがいいんじゃないかと思って言ったけれど、隼人はかなり気を悪くしたようで、黙って私から離れた。
 ベッドから降りた隼人を見て、さすがに気まずさが込み上げる。拒絶したと思われたかもしれない。
「隼人……。ごめんね……。なんだか、こういうの慣れてなくて。全然、色気のないことばかり言って」
 背中に向けて呼びかけたけれど、隼人は振り向いてもくれない。そんな彼の背中を、指で優しく突いた。
「ねえ、隼人ってば……」
 本当に怒っちゃったのかな。せっかくの休日を、楽しく一緒に過ごせると思ったのに──。自分の恋愛偏差値の低さを、情けなく感じる。
 涙が込み上げそうなくらいに落ち込み始めたとき、隼人が振り向いた。やっとこっちを見てくれて、自然と笑顔がこぼれる。
 でも、隼人はいたって真剣な眼差しで私を見た。
「狭くなければいい?」
「え?」
 と言った瞬間、隼人に唇を塞がれる。そして、抱きしめられて立ち上がらされた。
「壁に手をつけばできるよ」
「ええっ!?」
 ニコリと笑った隼人に、困惑気味の私。それでも、隼人の気持ちに応えたくて、恐る恐る壁に手をついてみた──。

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