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【17話】お見合い相手はスパダリ系ドクターでした!

作品詳細

「はい、これも糀谷先生に借りてきた」
「バトミントン! これ、まだうちにあったんだ!」
「千加が好きなんだよって自慢げに言ってたよ」
「そ、それは子どもの頃の話です」
「いいじゃないか。バトミントンしようよ。身体動かした後の弁当は美味いよ?」
 相野谷さんが下手な私に合わせてくれたけれど、ラリーは二、三度しか続かない。何度か繰り返すうちに、私が放ったシャトルが相野谷さんの頭にポコって当たって、こんなに笑ったことはないってぐらいお腹を抱えて笑ってしまった。
 ちゃんとごめんなさいって謝ったけれど、当てられた相野谷さんまで嬉しそうにしていて、私の息が切れるまでバトミントンは続いた。
 本当にこんなの初めてだ。
 すごく、すごく楽しくてドキドキしっぱなし。
「あ~これ、明日絶対筋肉痛です」
「冷やしておこう。千加が筋肉痛で仕事ができなかったら困るしね」
「相野谷さん、お仕事忙しいのに運動もできるってどういうことですか……」
 私の息が整うのを待って、水筒から注いだお茶を手渡される。喉が渇いてお茶を飲み干せば、シートに座った相野谷さんは汗ひとつかいていない。
「医者は体力勝負だからね。毎日筋トレしてから寝るんだよ」
「だから、あんなに」
 逞しい身体なんですね──と口から出そうになった。
 ベッドにつかれた腕と引き締まった胸元が思い起こされて、動悸が起こる。
 気づいてないよねと隣を窺えば、悪戯っぽく細められた瞳が私を見ていた。
「あんなに、なに?」
 シートの上にゴロンと横になって、私の膝の上に頭が乗せられる。下からまっすぐに見つめられて、突然……本当に突然、キスしたくなった。
「な、なんでもありませんっ」
 絶対私の顔は真っ赤に染まってる。
 内心まで悟られることはないだろうけれど、私ばっかりエッチなことを考えているんだって知られたくない。
「キスしたい」
 一瞬、口から心臓が飛び出るかと思った。
 なんで私が考えてることがわかったんですかって、何とも神妙な顔つきをしていたと思う。
「あ、あの……っ」
「ダメ?」
 下から伸びてきた指が唇に触れる。
 相野谷さん、私と同じこと考えてたんだ。
 私だけじゃなかった。
 運良くここはテントの中で、入り口は開いているけど近くに人はいない。
「私も……したい、です」
 膝の上に乗っていた頭を起こして、唇が塞がれる。
 この人は魔法使いかなにかですか。
 だってやっぱり私の気持ち、わかっていたとしか思えない。
 チュッチュって軽い音を立てて、なのにいつまで経っても唇は離れていかない。私が、もっとして欲しいって知ってるから。
「ん……」
 入り口を閉められて、テントの中の影の色が濃くなる。楽しそうな家族の声がして、子どもの甲高い笑い声に合わせるみたいに鳥の声が聞こえた。
 でも、私の頭の中には相野谷さんの官能的な囁き声ばかり、乾いたスポンジが水を吸収するみたいに入ってくる。
「千加、声……我慢してね」
 ひょいと持ち上げられて、相野谷さんの足の間に座らせられる。
 相野谷さんの鼓動が熱を持った背中から伝わる。
 後ろから大きな手のひらで唇を塞がれて、薄手のシャツが捲り上げられた。
「んんっ……」
 汗ばんだ肌の上を、男らしい太い指が這う。あっという間にブラジャーだけが外されて、胸元が露わになった。
 両胸の突起を軽くつまみ上げられて、思わず嬌声が漏れる。
「あっ、あ……」
「千加、いっぱいして欲しかったら……声」
 できるよね、と有無を言わせない微笑みが向けられて、口元が覆われた。
 首筋にカリッと歯があたる。唾液に濡れた舌は、鎖骨から上へと這い上がり耳朶が生温かい口内に含まれた。
「ふっ、んんっ……」
 聴覚を直接刺激するように、チュッチュッと湿った水音が響く。ゾクゾクと身体が痺れるような快感に包まれて、自分の意思で座っていられずに身体が弛緩していく。

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