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【1話】お見合い相手はスパダリ系ドクターでした!

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プロローグ

千加ちかごめん……ほかに好きな人ができたんだ。俺たち別れよう」
 桜が散り、一面に花びらの絨毯ができていた。
 初夏を感じさせる生温かい風が頬を撫でて、言葉がでることもなく長きにわたる恋は呆気なく終わりを告げた。
 十年付きあっていた恋人から振られたのは、先日の土曜日のこと。
 高校卒業と同時に告白されて、私が初めて付きあった人。
 運命を感じてしまうぐらいに、同い年で家も近所、ついでに大学も職場も一緒。
 恋人同士でも適度な距離をって言う彼に合わせて同棲はしていなかったけど、漠然と私は彼と結婚するんだろうなって思っていた。
 そろそろかな、って思うそんなタイミングだった。
 あまり口数の多くない私と違って、たくさん喋る彼はいつも私を楽しませてくれた。
 二人でいることが楽すぎて、家族みたいな存在だった。
 だから、触れ合う機会はそんなに多くなかったと思う。
 私は二十八にもなってまだ大人になりきれていないのか、恋人同士の触れ合いが苦手だ。
 付きあって確か三ヶ月後にいわゆるラブホテルでしたのが最初。
 あまりいい思い出とは言えない。
 痛いし、気持ちよくないし、恥ずかしい。
 痛みで変な声はでるし、早く終わってってずっと思っていた。
 感想はそれだけ。
 彼も微妙だったのか、お互い初めてだしうまくいかないのも当然だよねって、気まずいままその日は別れたけど。
 回数を重ねるごとに、彼はそれなりに気持ちいいみたいで、まだ十代の頃は行為の回数も多かった。
 でも何度しても、初めての感覚が変化することはなかった。
 ほかの人に聞いてみたい。
 〝エッチってどのぐらいの頻度でするの?〟
 〝エッチって本当に気持ちいい?〟
 週に一度のデート、三週間に一度の触れ合い。
 私にとっては、この三週間に一度の行為が正直苦痛で仕方なかった。
 彼に求められれば応じるしかない。
 彼が私との行為にどういう感想を抱いているかなんて知らない。
 私も、頑張っていたつもりだから。
 だって、まさか……それが別れる理由になるなんて思わなかったんだ。

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