【41話】お薬の時間です!~狼騎士隊長の担当看護師に任命されました~
(あつ……身体が変……)
気持ち良いところまで連れていかれる度に、切なさが増えていく。もういっそ――あの太いモノを入れてもらえれば、この疼きはなくなるのだろうか。
「オズさ……、も、いい、……です。楽に、して……?」
耐えきれなかった涙が、ニーナの頬を伝う。
濡れた瞳でそう求めれば、オズワルドは耐えかねたように喉奥で唸った。尻尾が激しくシーツを叩く音を、ニーナは遠くに聞いた。――あれは苛立たしさに揺れている? それとも喜んでいる? どうやらオズワルドの感情は制御できていないらしいが――それすら、自分のせいだと思うと妙な嬉しさがニーナの心に広がった。そうだ。自分だけがいっぱいいっぱいより、余程良い。
「……ニーナ。本当に君の純潔を貰っても良いのか?」
「ん、っ、は……いいです……っ、はやく……ぅ……」
ニーナは魘されるようにオズワルドの手を取ると、自分の潤んだその場所へと導いた。普段のニーナなら言わないであろう言葉が口から零れて、オズワルドの深緑色の瞳が狂暴な光を宿し輝く。
背中を撫でていたオズワルドの両手が、ニーナの尻を掴み、揉まれただけだというのに、擦れ合った太股からもくちゃ、と水音がする。そしてうつ伏せにされたかと思うと、腰を持ち上げられた。
「こっちの方が負担が掛からないと思うが……」
ぬち、とオズワルド自身を押し当てられて、その熱さに耐えるようにニーナはシーツを掴んだ。
「あ……、ふっ」
切っ先が潜り込んで行くたびに引き攣った痛みを覚えたが、次の瞬間には甘やかな疼痛へと変わっていく。
これが媚薬の力だとしたら、相当すごい薬だ。先程見たオズワルドの大きさを思い出し、時々戻ってくる理性がそう呟く。
しかしオズワルドの指先が、散々弄られすっかり腫れて剥き出しになっている花芯に触れ、円を描くように捏ね回されると、もうニーナは快感しか追えなくなった。その間もオズワルドの腰はゆっくりとニーナの中に沈んでいく。
「ん、ニーナ。そんなに締めないでくれ」
「や、……分かんな……っ」
焦らされるようにゆっくりと進む腰。ぷつ、と何か破れたような感覚に、また一つ涙が零れ、落ちた雫がシーツに吸い込まれた。
「……っ、ここまで、だな」
一度息を詰め、そう吐き出したオズワルドの声もニーナ同様、苦し気だった。
ニーナが心配になったのは一瞬。いっそう存在感を増したオズワルド自身に、優しく奥を叩かれた。
「っん……っふ、……あっ」
今までで一番強烈な感覚だった。何度も奥を優しく突かれ、時々掻き回されて、もう意味のある言葉が口から出てこない。口すら閉じられず、きっと自分はとてつもなくだらしない顔をしているだろう。
(頭おかしくなり、そ……)
けれどもっと感じたいと、勝手に動く腰は淫靡にオズワルドを楽しませていた。
ニーナの身体を覆うように前のめりになったオズワルドは、暗闇に浮かぶ白い背中に口づける。肩甲骨に舌を這わせ、揺れる胸の膨らみを揉みしだき、先端を弾いた。
「ひゃあああんっ」
「……っニーナ、痛くは、ないか」
未だゆっくりと押し広げるように動く腰は、ニーナを気遣うものだ。
こんな時でもオズワルドは優しい。けれど、今はその優しさがやっぱりもどかしくて、ニーナは「だい、じょうぶ」と舌っ足らずに必死に答えた。
「オズ、ぅ……、もっと、……あっ、もっと……ぉっ」
「ニーナ、煽らないでくれ。……壊してしまう」
宥めるように囁くオズワルドの声も上擦り、低く掠れている。首の後ろに高い鼻をすり寄せたかと思うと、突然歯を立てられ――それだけでニーナは達してしまった。
「……は……っ」
不意打ちで締め上げられたせいだろう。思わず、といったように漏れたオズワルドの声に、ニーナの中がきゅんきゅんと反応する。
「……っ悪い子だな」
突き入れられるのと同じタイミングで、添えられていただけだった指が再び花芯を押し潰した。二人の繋がった部分から溢れた愛液を掬い取り、ぬるぬると少し強い力で撫でて、捏ねられる。ひっきりなしに与えられる甘い刺激に、耐えられずにとうとうニーナの腰がシーツに落ちてしまった。
「ニーナ、顔を見せてくれ……っ」
完全に覆い被さったオズワルドはそう懇願した。すでに上り詰め、意識が朦朧としていたニーナが重い頭を上げて振り向くと、唇が合わさった。いっそう注挿が激しくなり、寝台が大きく軋む。
「……っんっはぁ……んッ」
背中に回した手が、柔らかな髪をかき混ぜると、ひときわ強く腰を押しつけられ、ニーナは激しい快感に呑み込まれるように意識を手放した。
しっかりと抱きしめてくれる太い腕の中は、温かくて優しくて。
「……オズさん、ん……ずっと、そばにいてね……」
頭を撫でて、褒めて、甘やかして。
小言を言う暇もないくらい愛を囁いて、甘やかして。
しっかり者の長女が今まで口が裂けても言えなかった我儘。
「ニーナ?」
どうやら声に出ていたらしい。寝入りばなのボンヤリした意識の中で、しまったと思ったのは一瞬。
「まいったな。全部やりたい事だらけだ」
ふわりと頭を撫でられた感触に、無性に叫びたくなるほど嬉しくなる。
「ニーナ、愛してる」
愛しさが溢れた穏やかで優しい告白。ニーナは自分が世界で一番幸せだと思う。
――そして、そのままオズワルドにしっかり抱かれて抗いがたい睡魔に身を委ねたのだった。