【51話】恋甘キッチン~溺愛社長の一途な独占欲~

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 そっと唇を重ねられて、促されるまま深いキスに応える。
 彼に、私のささやかな胸の膨らみを優しく包むように撫でられて、ドキドキしていた心臓の鼓動がさらにドクンと高鳴った。
「ん……っ」
「苦しくない? 里歩ちゃんとキスするの大好きだけど、少しずつにしようかな」
 私は火照ってぼうっとする頭を横に振り、もっとキスして欲しいと囁いた。
「私、も……好き」
「里歩ちゃん」
 再び塞がれた唇は、今度は私が呼吸困難になるギリギリまで離れなかった。
 限界を訴えて、ようやく放してもらえた時には、キャミソールとブラの肩ひもが完全に落ちていて、我ながらあられもないと思う状態になっていた。
 肩で息をしていたら、透真さんは「ちょっと休憩しようか」と言って、私の身体を再び横に抱き上げる。
 私は驚いて、一体どこで休憩するつもりかと目を見張った。
「透真さん?」
「ちょうどいいからお風呂入ろう。お湯に浸かりながらの絶景、里歩ちゃんも見てみたくない?」
「え……お風呂っ!?」
(まさか一緒に?)
 そのまさかで、透真さんは私を抱き上げたまま、外のお風呂に繋がる脱衣所へと私を連れていった。
 そこで下ろされて、すぐさま腰に腕を回され、なぜかスカートのホックに手をかけられる。
「ちょっ、透真さん!」
「ん?」
 悪びれた様子なく微笑む彼を見上げて、私は抗議した。
「そんな当たり前みたいに脱がさないでください!」
「じゃあ自分で脱ぐ?」
「は……いえ、あの……」
 反射的に「はい」と答えそうになって、言いよどむ。
 すると透真さんは私から手を離して、今度は自分がさっさと脱ぎ始めた。
「わっ、ちょっと!」
「早くおいで、里歩ちゃん」
 彼はなんの躊躇いも迷いもなく下まで全て脱ぎ捨てると、そのまま洗い場に入って行った。
 脱衣所に置いていかれた私は、呆然とそれを見送る。
(やっぱり一緒にってこと?)
 さっきベッドの上でキスをしながら、おそらく胸は、すでに見られてしまっている。
 だからといって、いきなり裸になって、しかも一緒にお風呂とか、絶対に無理だ。
 その場で固まっていたら、しばらくして透真さんが洗い場の扉を開けて顔を出し、さっきと何も変わらない状態の私を見て言った。
「やっぱり、僕が脱がそうか?」
「いえっ、むむむ無理ですっ!」
 首を横にブルブル振る私に、彼は仕方がなさそうに妥協案を示した。
「じゃあ僕が先に外に出て、お湯に浸かってるから。里歩ちゃんは、自分で脱いで入ってきてね。もし里歩ちゃんが来なくて、僕がのぼせそうになったら、強制的に脱がせて好きなように洗って、中に連れ込むから」
「~~っ!」
 言葉も出ない私に、彼は軽く目配せをして微笑んだ。
「どうしても恥ずかしかったら、タオル巻いてきてもいいよ」
 そうして彼は再び洗い場の扉を閉め、さらに奥にある露天風呂へと続く扉を開けて、外へ出て行った。
(断るって選択肢は無しなの?)
 たとえここで逃げても、最後まで逃げ切れるとは思えない。車で来たせいで、ここがどこだか正確には把握していないし、私が一人で家まで帰ることは出来ないからだ。
(透真さんの意地悪!)
 いくらなんでも初心者に対する要求としてはハードルが高すぎると思う。
 かといって部屋まで追いかけてきた彼に強制的に脱がされ、しかも好きに洗われてしまうよりは、まだ自分で脱いで、タオルを巻いて外へ出る方がマシだと思えた。
「透真さんて実はドSだ。ドS王子……」
 あんなに爽やかで優しげな風貌をしているくせに――
 私はブツブツ文句を言いながら服を脱ぎ、洗い場のドアをそろそろと開けて、中に入った。

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