【50話】恋甘キッチン~溺愛社長の一途な独占欲~

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「里歩ちゃん……」
 彼の声には熱が籠もり、呼吸がわずかに浅くなっている。さっきまであった彼の余裕が、情欲の波に押されて消えかかっているように思えた。
「服、脱がせてもいい? 直に触りたい」
 私が返事をする前にもう彼の手は腰の辺りから服の裾を捲り、直肌に触れていた。
「ん……透真さん……、待って」
「ゆっくりするから。里歩ちゃんは力を抜いて、僕に任せてくれたらいいよ」
 余裕とまではいかなくても、落ち着いた口調からはわずかな冷静さが感じられる。
 私の体調を気遣い、様子を見ながら進めてくれるつもりなのだろう。
「は、い……」
 私は意識して身体の力を抜くように努力した。でも彼の手が肌に触れるたび、そこがピクンと反応してしまうのを止められない。
 身体中、どこを触られても肌が甘くざわめく。ゾワゾワと寒気に似た震えが走り、なかなかジッとしていられなかった。
「んっ……、ぁ、んぅ……っ」
「ここ、感じる?」
 どこが一番感じるかと聞かれるけれど、答えられない。どこもかしこも気持ち良くて、ただ透真さんに触れられていると思うだけで、堪らない気持ちになる。
「里歩ちゃん、ちゃんと息して。ゆっくり深呼吸してごらん」
 気付くと私は呼吸が浅くなり、無意識にハクハクしていた。透真さんはそのたびに心配して、声をかけてくれる。
「ご、ごめ……なさ……っ」
「謝らなくていいよ。里歩ちゃんは何も悪いことしてない。ただ僕に夢中になって、息をするのも忘れちゃうだけだからね」
 透真さんはいたずらっぽく微笑みながら、そんなことを言った。
 私が笑うと、彼は堪らないといった表情で、私の顔にキスの雨を降らせる。
「可愛い……里歩ちゃんの笑った顔、本当に大好きだ」
「透真さん」
 あまりにもたくさんキスをされるので、私が顔を両手で覆ったら、彼はその隙に私の着ていた被るタイプのブラウスを脱がしにかかった。
 腕と頭を器用に抜かれ、私はキャミソールと下着だけの姿にされてしまう。
「あ……」
「綺麗だ、里歩ちゃん。肌が真っ白で華奢で……お姫様みたいだ」
(お姫様……?)
 恥ずかしさよりも、その言葉に驚いて彼の目を見つめる。
「私、が?」
 透真さんは当然のような顔をして頷いた。
「里歩ちゃんは僕のお姫様だよ。大事な宝物」
 私はその時、彼が以前言っていた〝宝物〟が何だったのかをやっと理解した。
「じゃあ、透真さんは私の王子様……?」
 冗談交じりに尋ねたら、彼はクスッと笑って「柄じゃないけどね」と呟く。
 私は首を横に振って、こそっと囁いた。
「私、初めて会った日に思ったんです。透真さんて王子様みたいだなって」
「……本当に?」
 彼は半信半疑といった様子で、苦笑する。
「私の方がよっぽど柄じゃないですよ、お姫様だなんて」
 そう言うと、彼は「そんなことないよ」と言って私の手を取り、指先にキスをしてみせた。
「君になら跪いて懇願してもいい。僕を愛して欲しいって」
 口調は冗談半分――でも眼差しは真剣な彼の表情を見て、くすぐったい気持ちになった。
「冗談だとしても、嬉しい。でも実行はしないでくださいね。どうしたらいいかわからないから」
「え~、やる気満々だったのに」
 私は慌てて、お願いだからやめて欲しいと頼み、透真さんはそれを見ておかしそうに笑った。
「じゃあ跪くのはやめる。でも、僕のことは愛して欲しいな」
「……愛、してますよ?」
 言葉は少しぎこちなくなってしまったけれど、透真さんは嬉しそうに微笑んで、私の鼻先に自分のそれを擦りつけてきた。
「ありがとう。僕も里歩ちゃんを愛してるよ」
「透真さん……」

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