【49話】恋甘キッチン~溺愛社長の一途な独占欲~

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 いつの間にチェックインしていたのか全然わからなかったけれど、彼は建物の別館にある一番奥の部屋の鍵を胸ポケットから出して、鍵を開ける。そして私の身体を抱き寄せると、腕の中に囲むのと同時に部屋の中へ連れ込んだ。
「わぁ……っ」
 視界に飛び込んできたのは、高級感に溢れる和モダンな室内。そして外に通じる大きな窓からは、さっきのテラスと同じ色とりどりの紅葉が見えた。
「すごい綺麗! ね、透真さん」
 彼の腕の中で、感動しながら顔を上げたら、熱っぽく甘い視線にぶつかった。
「あ……」
「うん。綺麗だね、里歩ちゃん」
 景色なんかちっとも見ていないのに、透真さんはそう言って微笑むと、ゆっくり顔を近づけてきた。そして、そっと触れるだけの優しいキスをする。
 この部屋へ入ってくる前からずっと、緊張で胸がドキドキしていた。
 そして彼にキスをされたら、私の身体はどこかの糸がふつりと切れて、全てがバラバラに解けたように、力が抜けてしまった。
 透真さんに全身で寄りかかると、彼は軽くしゃがんで、いとも簡単に私の身体を横に抱き上げる。そして、別室にあるベッドへと運ばれた。
 私を下ろすのと同時に、透真さんも上がってきて、私の隣に横たわる。髪を撫でられ、こめかみや頬に優しくキスをされて、胸がきゅうっと締めつけられるような感覚を覚えた。
「透真さん……」
 恥ずかしいけど、もっと近づきたい。
 私が彼の胸元のシャツを握ると、彼は私に覆い被さるように顔を寄せてきて、唇にキスをした。
 その口づけは初めはゆっくりで、次第に深くなっていく。顔だけじゃなく全身の体温が上がって、甘い痺れが腰の辺りに湧き起こった。
「ん……っ」
 下腹部がきゅうっと締めつけられるような感覚。そして身体の奥が疼くような甘く焦れったい快感に身を捩る。
 唇を離すと、彼は私の目をジッと見つめて、ニコッと笑った。密な触れ合いに溶けてしまいそうな私を、彼の目は冷静に、かつ愉しそうに見つめている。
「透真さん」
 私が責めるような視線を向けると、彼は微笑みながら、軽く眉を上げた。
「ん?」
「そんな風に見ちゃ嫌です」
「そんな風って?」
「……観察、するみたいな」
 そう答えたら、彼は一瞬目を丸くし、すぐにフフッと笑った。
「バレたか。だって可愛いんだもん、里歩ちゃん」
「ズルいです、透真さん。私ばっかり夢中にして……」
 すると彼はその微笑みを一層深くして囁いた。
「何言ってるの、僕だって夢中だよ。里歩ちゃん以外は何も見てない。里歩ちゃんだけ」
 背中をするりと撫でられて、ゾクリと甘い震えが走る。
 この先へ進む予感と、自分の身体がそれに応えられるのかどうかの不安がごちゃ混ぜになって、思わず彼にしがみついた。
「どうして君は、そんなに可愛いの」
 透真さんはそう言って、私のうなじに唇を押し当てると、そこを強く吸った。
「あっ」
 鋭い痛みを感じる。でもそれはすぐにジンジンとした鈍い熱に変わっていった。
 透真さんが私の肌に残す痛みや温もり、優しく触れる手の感触――そのすべてが愛おしく、喜びに変わる。消えて欲しくなくて、また新たな刺激が欲しいと額をすり寄せたら、強い力で抱きしめられた。

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