【48話】恋甘キッチン~溺愛社長の一途な独占欲~

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 外の空気はかなりひんやりとしており、私は温かい紅茶を飲み終わってすぐ、中に入りたいと彼に言った。
 透真さんは「いいよ、探検しよう」などと言って、自分の着ていた薄手のジャケットを私に着せかけてくれる。
 自然と手を繋ぎ、私の歩調に合わせてゆったり歩いてくれる彼に、胸がドキドキした。すらりとしたその立ち姿にもウットリしてしまう。
(なんでこんなに格好いいんだろう)
 まるで神様が私にくれたプレゼントみたいだ。
 本当にこの人が私の恋人で、あまつさえ求婚者だなんて、都合のいい夢なんじゃないだろうか……?
 そんなことを思っていたら、透真さんが何かに気付いて足を止めた。
「そうだ、里歩ちゃん。もし疲れたらすぐに休めるように、部屋を取ってあるから。横になりたかったら言ってね」
「……部屋、ですか?」
「うん。露天風呂がついてて、温泉にも入れるんだ。さっきの景色を見ながらお湯に浸かれるから、後で見に行こうね」
(えええ~~っ)
 思いもよらないプランに、私はただただ唖然としてしまう。
 学生とは違う大人のデートという話だったけれど、彼のプランは私の想像を遥かに超えていた。
 このホテルは、建物の造りも設備も高級感があり、何より人が少なくて、とても静かだ。それに、施設内には美術品をはじめとした展示品が多く、地元の工芸品や名物などが並ぶお店もあったりして、歩いて回るだけでも充分楽しかった。
 最初は少し緊張していたものの、慣れてくると思った以上にゆったりできて、私はここがすっかり気に入ってしまった。
 それを伝えたら、透真さんも嬉しそうに笑って喜んでくれる。
「デートの悪いイメージは、少し払拭できたかな?」
 そう言われ、私は彼が、過去の苦い思い出をなんとか書き換えようとして色々考えてくれたことに気付く。
(透真さん……)
 あの時、彼が「考えてみるね」と言っていたのはこのことだったのかもしれない。
「ありがとう、透真さん。あの……大好き、です」
「えっ」
 どうやらかなり予想外なことを口にしてしまったようで、照れる私とは反対に、透真さんは目を丸くしたまま固まっていた。
「透真さん?」
「初めて言われた……里歩ちゃんから、好きって」
「そ、そうでしたっけ?」
 もう何度かキスだってしているから、とっくに伝えていたように思っていた。
 でも考えてみたら、私はつい先日まで、彼と付き合うことは出来ないと頑なに思い込んでいたのだ。だから「好き」とは、言葉で伝えていなかった気がする。
「すみません、私ってば。あの、私は……初めて会った時から、透真さんのことを素敵な人だなぁって思ってて……その…………、好きです」
 我ながら、まるで中学生の告白みたいだ。
 でも私とは違い、透真さんの反応はまったく中学生っぽくなかった。
「里歩ちゃん。おいで」
「え? どこにですか?」
 わりと強引に手を引かれ、彼と一緒にロビーの方角へ向かう。
「部屋に決まってるでしょ。これ以上は無理。人目につく場所でキスされたくなかったら、おとなしくついて来て」
(それってつまり、部屋に入ったらキスをされるってこと?)
 急激に速度の上がった心臓の鼓動が、歩いているだけでも自分の耳に届いた。

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