【34話】恋甘キッチン~溺愛社長の一途な独占欲~

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 どうして抱きしめられているのか、なぜベッドの上にいるのか――理解が追いついてこない。
「里歩ちゃん、驚いた?」
 落ち着いた声で問いかけられ、私は浅い呼吸を繰り返しながら頷いた。
「驚き、ました」
「よしよし。ゆっくり呼吸して」
 陸に上がった魚みたいな状態になっている私を見て、透真さんは宥めるように優しく背中を撫でた。
 そもそも、こんな状態になっているのは透真さんのせいなのに。
 でも大きな手で背中を撫でられたら、くすぐったいような甘い感覚に肌が震えた。
(どうしよう……気持ちいい)
 ドキドキと心地好さが、私の中で仲良く同居していた。透真さんの腕の中は温かくて、いい匂いがして、どうしていいかわからないほど緊張しているのに、ずっとここに居たいと思った。
「里歩ちゃん、好きだよ」
 甘い口調で囁かれ、私は驚いて思わず顔を上げる。透真さんと目が合い、彼は指先でそっと私の唇をなぞってから、湿った声で問いかけてきた。
「キスしてもいい?」
 私はその瞬間、気持ちが大きく揺れ動くのを自覚し、動けなくなった。
 頭ではダメだと思うのに、心と身体は彼にものすごく応えたがっているのがわかる。
 もう一度、背中を大きく撫でられて、そのゾワゾワくる気持ちよさに思わず目をつむったら、唇に柔らかくて温かいものが触れた。
(あ……)
 初めてのキスは、とても甘かった。
 彼は唇の感触を確かめるように、ゆっくりと、優しくそれを触れ合わせてくる。
 同時に耳たぶや首すじを手でくすぐるように撫でられて、初めての感覚に肌が震えた。
「んっ……」
 上手く呼吸が出来なくて苦しい。なのに、唇が触れ合う時間はキスを繰り返すごとに長くなっていく。
 やっと離れたかと思ったら、透真さんは代わりに鼻先を掠めるようにして、瞳を覗き込んできた。
「里歩ちゃん」
「は、はい……」
 相変わらずハクハクと呼吸をしている私を見て、彼はクスッと笑う。
「可愛いな。もしかして初めて、とか?」
 私は恥ずかしさに顔がカァッと熱くなるのを感じながら、頷いた。
「すみません……」
 謝ると、彼は驚いたのか目を丸くする。
「なんで? すっごく嬉しいよ」
「だって、私もう……二十三なのに」
 この歳でファーストキスもまだだとか、普通の人は引くんじゃないだろうか。
 でも透真さんはおかしそうに笑って、私をぎゅうっと強く抱きしめた。
「歳は関係ないよ。好きな子の初めてをもらえるって特別なことだから。嬉しいよ」
 〝好きな子〟という言葉に、胸がきゅうっと締めつけられる。
 ダメだと頭ではわかっているのに、拒絶することが出来なかった。
(好きな人からの好きって、ものすごい威力)
 嬉しくて、もっとずっと、こうしていたくて。できれば永遠にこのままでいたいくらいの、抗いがたい引力を感じる。
 優しく頬に触れる彼の指先や、肌にかかる吐息。温かくて力強い腕の感触が、震えそうなほど心地よかった。
「里歩ちゃん、もう一回……」
「え?」
「口、軽く開いてて」
 唇に触れた彼の指が、軽くそこを押さえつける。私が戸惑っている間に、再び顔が近づいてきて、また口づけられた。
「ん……」
 わずかに開いた唇の隙間を塞がれたかと思うと、直後に舌が伸びてくる。
 それに驚くのと同時に、身体の内側からゾクリと甘い震えが湧き起こり、頭が真っ白になった。
 舌は私のそれと擦り合わされ、そのたびに身体がゾクゾクと反応する。
 唇が触れるだけのキスとは全然違う、そのなまめかしい感覚に、私はただただ翻弄された。
 言葉を発する隙を与えてもらえず、息継ぎをするのに精一杯。でもそれも満足に出来なかったせいか、頭がクラクラしてくる。

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