【34話】強引御曹司に注がれる溺愛の味

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「……そう、なんだ」
 ぽつりとつぶやく涼子の声もまた、響く。
 湯船を出たふたりは、蒼真の部屋のベッドへ移動した。ゴムを着けた蒼真が涼子を呼ぶ。着けてくれたのは涼子のためなのに、なぜかそれがふたりの間の隔たりを感じさせて、気持ちが沈んでいる自分に気づいた。
「おいで、涼子」
 湯船に入っていた時のように、座る蒼真の上に涼子は跨った。静々と彼のモノを自分のナカに収めていく。すっかり蒼真の形に変わった膣内は、受け入れる悦びに浸りながら蜜をあふれ出させた。
「んっ、蒼真、蒼真……っ!」
「涼子、ああ」
「私、わた、し……っ、蒼真が――」
 涼子は夢中で腰を上下にさせながら、口走りそうになった自分に慌てて蓋をした。
「なんだよ、涼子っ、今日は激しいな……!」
 蒼真は快感に顔を歪め、涼子の腰を両手で支えている。
(ダメなのに。私、思わず『好き』って言いそうになってた。蒼真が好き、って……)
「ああ、可愛いよ、涼子、涼子……!」
 気づいたと同時に、彼の喘ぐ声も、涼子と呼ぶ声も、その肩も、手も、何もかもが愛しくてたまらなくなった。
「蒼真ぁ……っ!」
 涼子は思いを込めて彼の名を叫んだ。
(好きだから……彼が結婚しないと言ってショックを受けてるんだ。やっぱり私は、ただ、彼と一緒にいて体を気に入られているだけの女だった。わかっていたはずなのに……つらいな。結婚しないということは、婚約者も存在しないの? それとも本当は婚約者がいるのに、私に恋愛関係や結婚を迫られないよう、けん制しただけ……?)
 蒼真をそんな人だとは思いたくないが、体も、頭の中も、ぐちゃぐちゃだった。
 恋愛感情はないのだから、ただ抱かれて甘やかされて、それだけでいいだなんて都合のいいことを考えた自分が愚かだったのだ。考えるまでもないことなのに。蒼真と離れがたかった涼子は……そう、本当は出会った瞬間から、彼を好きになっていたのだろう。
(こんな時に自分の気持ちに気づくなんて、バカみたい。でも……体だけの関係だとわかっても、蒼真と一緒にいたい。ここまできたらもう……離れられないよ)
 涼子は虚しい思いを抱えながら、体を合わせる意味を忘れるかのように、ただ蒼真との行為に没頭した。

 散々抱かれた後、彼のベッドで眠るのはやめにして自分の部屋に戻ると、スマホが光っていた。
「あ、芳美……?」
 涼子が前の会社を辞める直前まで心配してくれていた同期の芳美だ。電話をしてもいいかというメッセージが五分前に入っている。涼子は暖房をつけ、すぐに自分から電話をした。
「芳美? メッセージありがとう」
『涼子元気? 仕事はどう? 頑張ってる?』
「うん、なんとか頑張ってるよ」
『ねえ、今度そっちに遊びに行っていい? 会社の近くなんでしょ? 見てみたいな』
「えっ、と、そうだね。あの、一応なんていうか、寮だからさ、えっと」
 額に汗を掻きつつ、しどろもどろな答えしかできない。まさか男性と、それも上司と同居しているなどと伝えたら、芳美は驚くどころではないだろう。その上司につい今しがたまで抱かれていたのだ。ふたりの関係を言葉で伝えるのはさらに難しくなる。
 前の職場は今の会社とつながりがあるので、蒼真との関係がバレてしまうのは非常にまずいわけで……。

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