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【5話】元カレ同期は諦めない~すました彼の冷めない欲情~

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 到着したのは眞妃の一人暮らしをしているマンションだ。1Kの普通のマンション。人を泊めることなどめったにないので匡吾が来ることになるとは思わなかった。
「匡吾、着いたよ」
 声をかけても返事がない。
 眞妃に寄りかかっていても歩けているので熟睡しているわけではなさそうなのに。
「……もう」
 部屋の明かりをつけて、とりあえず匡吾を眞妃のベッドに寝かせてしまう。この状況をわかっていないであろう匡吾の寝顔を眺める。
「……んー……」
「匡吾がこんなに酔うなんて信じられない……ベッドも占領されちゃったし、どうしよう……」
 一緒に寝るわけにはいかないのでソファか床で寝るしかない。でもソファは一人用の小さいものだし、客用のマットレスもないので床で寝るのもつらい。
 匡吾の寝顔を見ながらどうするか考えていると、彼の目が開かれた。起きた? と聞く前に匡吾の手に腕を掴まれる。
「きゃっ!」
 強い力で引っ張られよろけてしまい、匡吾の上に乗ってしまった。
「ちょ、ちょっと匡吾!」
 恥ずかしい体勢に今すぐ起き上がりたいのに匡吾が眞妃の腕を掴んでいるせいで離れることができない。
「……眞妃」
 目を開く匡吾と間近で視線がぶつかり胸が鳴った。こんな距離で見つめ合うことなんて、つき合ってた時以来だ。恥ずかしくて視線をそらす。
「起きた? ちょっとしっかりしてよ……っ」
 匡吾の右手が頬を包み強引に正面を向かされる。何事かと考えている暇もなく、後ろ頭にそえられた左手で引き寄せられた。
「ん、ぅ……む」
 熱い唇が重なっている。眞妃は慌てて匡吾の胸を押し返し距離を取ろうとする。
「や、やだ匡吾」
「……眞妃」
 いつもの硬く厳しい口調ではない。柔らかく甘い声で名前を呼ばれた。酔っているとはいえ初めてのことに、鼓動が一気に騒ぎ出す。
 頬を包まれて撫でられ、耳をくすぐられる。
「ちょっと、んぅ……!」
 強い力で引き寄せられているので抜け出すこともできず、匡吾から与えられるキスに抵抗できない。
 角度を変えて重なる唇はそれだけでは終わらず、眞妃の上唇と下唇を交互に食むので自然と口が開いていた。
 するりと入ってくる匡吾の舌先。
 歯列をなぞり、咥内を舐る舌に眞妃は身体の力が抜けていくのを感じていた。戸惑う眞妃の舌を捕まえると、匡吾は唇で吸い上げる。肉厚の舌が眞妃の咥内でいっぱいになり、息苦しい。
「……ハ……眞妃……」
 甘い息と一緒に名前を呼ばれて身体の奥が熱を持つ。
 匡吾の上から退くことができないくらい身体の力が抜けてしまっている。その隙にも匡吾は何度も眞妃に唇を寄せ、すぐに深いキスに変わる。
 再び舌を捕まえられると舌の根から吸い上げられ、目の奥がジンと痺れる。激しいキスに溢れる唾液が垂れ落ち、匡吾はそれすらも舐めとってしまう。
「ん……きょ、ご……」
 いつもクールなあの匡吾が、こんなに情熱的なキスをするなんてお酒ってすごい。
 まるで別人のようだ。
 大学時代もこんな激しいキスはした覚えがなかった。もっと丁寧で、落ち着いたキスだった記憶がある。大人になるってこういうことなのかと、キスでぼんやりする頭で考えていた。
「ふぁ、ぅ……匡吾……んぅ……」
 甘い息が洩れる。
 キスの合間で彼の名前を呼ぶことしかできない。
 ようやく唇が離れていくと、匡吾の熱い視線に釘付けになる。何を考えてこんなことをしているのか、その視線だけではわからない。
「ひゃっ」
 くるりと身体を反転され、匡吾に押し倒される体勢になった。
 目尻が赤くなった視線で上から見下ろされ、鼓動がうるさい。
「眞妃……したい」
 匡吾のセリフにひどく動揺した。まさか匡吾にこんなことを言われるなんて。相当酔っている、もしくは寝ぼけているみたいだ。
「え? ちょっとどれだけ酔って……」
「だめか?」
 甘えるような口調と視線に眞妃はひどく動揺する。
「眞妃」
「や、耳元で呼ばないで」
 匡吾はそのまま眞妃の耳に舌を這わせ始める。耳のふちを丁寧に舌先でなぞられ、中まで舐められる。ぴちゃぴちゃと濡れた音が響き、眞妃はくすぐったさとは別に身体の奥が熱くなるのを感じていた。
「んん……耳はやだってば」
 匡吾は酔うとこうなってしまうのかと混乱している。
 もしかして前の彼女にもこういう姿を見せたのだろうかと思うと、胸の中が焼けるようだった。
 もうとっくに終わった関係なのに。

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