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【27話】元カレ同期は諦めない~すました彼の冷めない欲情~

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 匡吾は真剣な表情のまま続ける。
「……大学の時、眞妃が離れていって後悔した。俺が彼氏として不甲斐ない自覚はあったし、お前が離れるのも当然だって納得したつもりだったけど、再会してやっぱり好きだと思った。……手放すんじゃなかったって、ずっと思ってた」
 一度俯いて、匡吾はもう一度まっすぐ眞妃を見る。彼の表情からは覚悟が見えた。
「普段の俺だったら理論づけて自分の気持ちに整理をつけてたところが、眞妃に関してはそれができない。それほど、俺にとって大事なんだ」
 じわりじわりと胸の中が熱くなっていく。初めて匡吾の本音を知れた。あのクールな匡吾がそんなことを考えていたなんて、まったく想像もしていなかった。
「順序を間違えたことは謝る。一度抱いたらもっと欲しくなって歯止めが利かなかった」
「も、もういいから」
 これ以上聞いていたら羞恥心でどうにかなってしまいそうだ。眞妃は慌てて彼を制止する。
「じゃあ返事をくれ」
 匡吾は顔を強張らせていて、緊張がこちらにまで伝わってくる。あんなに平然としていた人が眞妃によってこんなに乱されているのかと思うと、心の底から愛おしい気持ちが湧き上がってくる。
 眞妃の答えはもうずっと前から決まっていた。
「……私も、匡吾が好き」
「……よかった」
 匡吾が心の底からほっとしたような、穏やかな笑みを浮かべる。匡吾の手から花束を受け取ると、花のいい香りがして、思わず鼻をスンと動かしていた。
「私、お花なんてもらったことないよ」
「抱きしめたいから、ちょっと花貸して」
「あ……」
 眞妃の手から花束を奪われて、丁寧にサイドテーブルに置かれる。するとすぐに匡吾が腕を開き、眞妃の身体を胸の中に閉じ込める。
 温かい彼の胸の中は落ち着くのに、心が高鳴っていく。
「眞妃の、仕事に一生懸命なところとか俺に惑わされるところとか、全部好きだよ」
「それ、からかってる?」
 匡吾の胸の中で不満を訴える。
「からかってるわけないだろ」
「……もう、こんなことできないと思ってた。諦めるなんて言うから」
「俺の我慢をちょっとわからせてやろうと思って言ってみた」
 匡吾が意地悪く微笑む。
「……ひどい」
「酷いのはお前だろ。海外行くならちょうどいい、なんて」
「……ご、ごめん」
「まあ強がりってのはわかったけどな」
 匡吾は身体を離し、眞妃の頬を両手で包む。まっすぐ目を見つめられて潤んだ瞳で匡吾を見上げる。
「眞妃、しばらく離れるけど、我慢できるか?」
「……もうあんなことにならないかな」
 匡吾への気持ちを素直に言えなかった迷いの理由は、大学時代の別れのことだ。もうあんな思いはしたくないと何度思ったことか。
「もちろん。俺が変わったのわかっただろ。昔は若くて照れもあったし、愛情表現をうまくできなかった。別れた時だって、眞妃が避けてるのわかったから俺から離れたほうがいいって思った」
「避けてたのは、初めてえっちして恥ずかしかっただけ。……ごめん」
 ちゅ、と唇が重なる。
「今ならわかるよ。もしまた同じことになっても俺はお前を問い質して理由を聞くからな」
「うん、しそう」
 簡単に想像できて、眞妃はくすくすと笑う。その唇に、また匡吾が小さく何度もキスを落とす。
「晴れて恋人ってことで。していい?」
「や、やっぱりこれが目的」
 匡吾はにやりと口角を上げる。
「これも、目的」
「んっ……」
 眞妃が何か言う前に唇が塞がれる。すぐに深くなる口づけに、眞妃は目を閉じた。どちらからともなく口を開き、舌を差し入れる。お互い絡め合うと身体の奥がジンと震えた。ぬるついた舌が眞妃の咥内を隅々まで舐り、追い付かなくなってくる。眞妃の舌を根元から吸い上げ、濡れた音を出しながら貪るようなキスをする。
「ん、んぅ」
 ゆったりとした動きなのに激しく感じる口づけに身体の熱は徐々に燃え上がっていく。
「っ、はぁ……」
 唇を離す頃には、眞妃は身体に力が入らなくて匡吾にしなだれかかっていた。
「身体熱い」
 匡吾が眞妃の乱れた髪を耳にかける。耳の縁や耳朶を指でなぞられると甘い息が洩れる。
「ベッド行こう」
 甘い囁きが眞妃の耳の中に吹き込まれて、どうしようもなく身体の奥が疼いた。

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