【37話】亡霊騎士と壁越しの愛を

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 それからしばらく口ごもった後、ガウスは意を決したようにミシェルをきつく抱きしめた。
「ふ、夫婦らしい生活を送りたいのだが、嫌か……?」
「夫婦らしい?」
「あ、愛し合いたいのだ……君と……」
 ガウスの願いは、ミシェルの願いでもあった。同意するのは恥ずかしけれど、頑張って口にしてくれた言葉に、ミシェルもまた必死になってこたえる。
「私も、ガウス様と愛し合いたいです」
「……キス、以上の事もするぞ?」
「し、してください」
 大きく頷いた途端、ガウスが呻きながら天を仰ぐ。
「君は可愛すぎる」
「は、恥ずかしいので、急に褒めないでください」
「でも可愛いのがいけない。そして我慢が出来そうもない」
 言うなり、ガウスはミシェルを抱えたまま立ち上がる。
「あ、でもお身体は平気……ですか……?」
「問題なさすぎるのが問題だ。君を愛したい気持ちが、止められない」
 ミシェルを見つめてくる眼差しには熱が増していき、いつもの情けない表情が消えていく。
 男らしい表情にどきっとしたものの、怖さや不安は不思議とない。
「なら、愛して欲しいです。……ただその、初めてなので上手く出来るかはわかりませんが」
「安心しろ。俺も初めてだから、失敗するときは一緒だ」
 そこでまた少しだけ情けない顔に戻り、ガウスが笑う。
 それが嬉しくて、ミシェルは破顔する。
「初めてが一緒で、嬉しいです」
 その一言がガウスの理性を木っ端微塵に砕いたとミシェルが知るのは、それからすぐの事だった。

   ◇◇◇      ◇◇◇

「あぅ……やぁ……あっ……ん……」
 自分のものではないような声に恥ずかしさを覚えながら、ミシェルはもう長いこと甘い悲鳴を上げ続けている。
(まだ触られているだけなのに……もう……おかしくなりそう……)
 二人のふれあいは、ささやかなキスから始まったはずだった。
 初めてという言葉通り、ガウスは恐る恐るミシェルのドレスを脱がせ、ミシェルもまた夫の着衣を手間取りながら剥ぎ取った。
 だが裸になり、更にキスを重ねるうちにガウスの手つきは初心者とは思えぬほどこなれたものになっていく。
 大きな手のひらが撫でているのは、ミシェルの大きな乳房だ。形の良い乳房に指を食い込ませ、形を変えながら揉みしだかれると肌が粟立ち呼吸が乱れてしまう。
「胸……ぎゅって、しないで……ッ」
「だが、ミシェルはここにふれると可愛い顔をする」
「あっ……グリグリするの……やぁ……」
 ベッドの上に横たわるミシェルの乳房を丹念に刺激した後、ガウスの指が立ち上がった頂きを指先で淫らに捏ねる。
 かたい指先で摘まむように先端を刺激されると、それだけで全身が震え、腰の奥に甘い痺れが走る。催したような感覚さえ覚え、ミシェルは太ももをこすりつけながら悶えた。
 その仕草が、ひどく官能的であると気づかぬままに。
「ミシェルは感じやすいんだな。もう、下も濡れていそうだ」
「濡れ……る……?」
「愛するものを受け入れやすいように、女性は大事な場所を蜜で濡らすと聞いた」
 ガウスはそう言うと、胸への愛撫をやめミシェルの太ももをそっと撫でる。そのままミシェルの蜜口に指を滑らせ、ガウスは蠱惑的な笑みを浮かべながら彼女の蜜を拭い取る。
「もう、いっぱい溢れているな」
 いつになく甘い声に、ミシェルの身体がぞくりと震える。
(今日の旦那様は、何だかとても……格好良くて目が離せない……)
 いつもはおどおどしている事が多いのに、裸で抱き合うときのガウスは普段と違って落ち着いた年相応の男に見える。
 色気も増していて、ミシェルはその顔を見るだけでドキドキしてしまう。
「旦那様……本当に……初めて……なんですか?」
「ああ。触れたいと思った女性は、君だけだからな」
「あっ……でも、気持ちいいところ……いっぱい知ってるし……」
 今もミシェルの花弁を指で広げ、蜜を掻き出す指使いは慣れているように感じる。入り口に触れられるだけで呼吸を乱し、ビクビクと腰を震わせる事しか出来ないミシェルのような余裕のなさは、どこにもない。
「どこに触れるべきかは、部下たちがやけに熱心に教えてくれたから、そのせいかもしれない」
 ミシェルへの好意を自覚して以来、いつかのときのためにと部下のレイモンドから夜伽の本まで渡されたとガウスは笑う。
「君に会えない間、ちゃんと勉強しておけと教本まで渡されてな。ただ、時間がなくて触りしか読めなかったから正しい愛撫が出来ているか不安だが」
「す、凄くお上手だと……思います……」
 ぎこちなかったのは服を脱がせるところまでで、胸への触れ方も優しくて丁寧だった。
 今も彼はミシェルの花弁を傷つけないよう丁寧かつ的確に蜜を掻き出し、指先で彼女の入り口をやさしくほぐしていた。
 じれったいほどの丁寧さに、ミシェルはすっかり蕩けてしまっている。

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